2018年度冬季電力需給対策 経済産業省資源エネルギー庁

経済産業省資源エネルギー庁はこのほど、2018年度冬季の電力需給対策について、総合資源エネルギー調査会電力・ガス基本政策小委員会の議論を踏まえて取りまとめた。

1、全エリアを対象とした需給ひっ迫時への備え
大規模な電源脱落等により、万が一、電力需給がひっ迫する場合への備えとして、以下の対策を行う。

①省エネキャンペーン等の実施
産業界や一般消費者と一体となり、経済効果を高めることに繋がるような省エネキャンペーン等を実施する。

②広域機関による融通指示
エリア内の需給状況を改善する必要があると認められる時は、広域機関より他の一般送配電事業者に対し、速やかに融通を指示するなどの対応を求める。

③需要面での取組の促進
電力会社に対して、ディマンドリスポンス等、需要面での取組みの促進を図ることを求める。

④積極的な情報発信
電力会社の公開するでんき予報などを活用し、電力需給状況や予想電力需要についての情報発信を行うとともに、民間事業者等(インターネット事業者等)への情報提供を積極的に行う。

⑤その他
①〜④の対策にもかかわらず、電力需給のひっ迫が予想される場合には、「需給ひっ迫警報」を発出し、更なる節電の協力を要請する。
また、厳寒による需要の急増や、発電所の計画外停止の状況等を不断に監視し、必要に応じて更なる追加的な需給対策を検討する。
これらの取組みに加えて、第三者検証委員会の検証結果や電力レジリエンスワーキンググループの取りまとめを踏まえた電力システムのレジリエンス強化のための対策のうち、全エリアに適用できる取組は積極的に行うこととする。

2、北海道エリアにおける電力需給対策
今冬の北海道においては、厳気象H1需要が生じた際にも電力の安定供給に最低限必要とされる予備率3%が確保され、更に大規模な計画外停止(▲154万kW)が生じた場合にも、北海道胆振東部地震発生後と同様に自家発の焚き増し等を行うことで、予備率3%以上の確保を図ることができる見通し。
他方で、北海道エリアは、㈰系統規模が小さく他電力からの電力融通に制約があること㈪厳冬のため万一の電力需給ひっ迫が国民の生命・安全に関わる可能性があること㈫本年9月にブラックアウトを経験していることから、需給への対策に注意が必要なこと等を総合的に鑑み、対策に万全を期す必要がある。
こうした観点から、北海道エリアにおいて以下の対策を実施する。
(1)節電要請
北海道胆振東部地震以降、無理のない範囲での節電をお願いしているところ、冬季においても引き続き節電要請(数値目標なし節電要請)を実施する。
(2)需給ひっ迫へのさらなる備え
冬季の北海道の特殊性を踏まえ、前項の取組に加え、緊急時の対策の準備を行うことなどを北海道電力に求めていく。
①緊急時ネガワット入札等の仕組み、計画停電回避緊急調整プログラムの準備
②大口自家発等の活用
③試運転中の石狩湾新港発電所1号機の活用の前倒し
④発電所等の計画外停止のリスクを最小限にするため、設備の保守・保全の強化
これらの取組に加えて、第三者検証委員会の検証結果や電力レジリエンスワーキンググループの取りまとめを踏まえた電力システムのレジリエンス強化のための対策のうち、北海道エリアに適用できる取り組みは積極的に行うこととする。

電材流通新聞2018年11月22日号掲載