トップインタビュー 全日本電線販売業者連合会 吉田康一会長

全日本電線販売業者連合会 吉田康一会長

取引適正化ガイドライン
国土交通省、トラック協会の荷主向け文書活用を配送問題から先に推進


全日本電線販売業者連合会(全電連)の吉田康一会長(関東電販理事長兼丸吉電機会長)は、取材の中で「電線取引適正化ガイドラインのうち、特に電線メーカーと流通に共通した『配送問題』を、先に進めている。引き続き、全電連では市場活性化委員会を窓口に、電線工業会等と連携しながら取り組む」としたうえで「国交省と全日本トラック協会は17年10月、荷主関係団体向けに『リーフレットの周知のお願い』と題して文書を配布し、公表した。電線業界でも、この配布・公表の文書を、個々の企業の配送問題の解決に向けて参考にして頂きたいと思う」と語った。


——まず、建設電販市場の動向から伺いたい。
「東京五輪の施設建設、首都圏の再開発プロジェクト・各種鉄道案件などが昨年晩秋から、本格的に動き出した。18年度建設電販需要は、電線工業会の同国内電線需要見通し改訂によれば34万㌧で前年度比5%増の模様。19年度も、そうした需要は期待できそう。また、19年度は消費税率の引き上げもありそうだが、それが電線の駆け込み需要に繋がるか、フタを開けてみなければ分からない」

 ——中期的な電線需要の見通しは?
「首都圏の再開発プロジェクトなどが控えているため、20年東京五輪以後の建販市場は、大きな落ち込みもなく堅調とみられている。電線工業会の22年度電線需要予測によれば、建設電販部門は33万8千㌧で17年度比5・6%増とした。また、25年大阪万博の開催やIRカジノ構想にも期待したい。
ただ、いずれも大都市圏のみの需要で地方は、需要の伸長があまり望めず、むしろ険しいケースもあり、建販電線全体では楽観視できないだろう。また、人手不足のおり、工事作業者の手配問題と同時に工事用汎用電線ケーブル需要への影響も懸念される」
19年度の事業計画は^n基本的に前年を踏襲

 ——全電連の19年度事業計画は?
「18年度事業計画では、『商慣習改善の実現』をテーマに掲げて活動6方針を決めた。基本的には19年度も、18年度を踏襲することになるだろう。特に、適正マージンの確保に向けた商習慣の改善を前提に、Ⅰ電線工業会策定の「電線取引適正化ガイドライン」及び経産省金属課策定の「金属産業取引適正化ガイドライン」のフォローをはじめ、Ⅱコンプライアンス指針の遵守、Ⅲ電線工業会との情報交換、Ⅳ組合活動の基盤整備と全国的活動組織の活性化、Ⅴ各分野の情報収集と発信、Ⅵ経営に関する学習会や講演会の開催となるだろう。
とりわけⅠのガイドラインが指摘する主な問題は、電線の①配送(物流費UP)や②年号(または新品)、③件名先物、④リベートの4項目になる。このうち電線メーカーと流通の共通した課題になっている①配送問題を、先に進めている。引き続き、全電連では市場活性化委員会を窓口に、電線工業会等と連携しながら取り組む」

——①の配送問題への対応策は?
「国交省と(公社)全日本トラック協会は17年10月、荷主関係団体向けに『リーフレットの周知のお願い』と題して文書を配布し、公表した。電線業界においても、この配布・公表の文書を、個々の企業の配送問題に、参考にして頂きたいと思う」

 ——②の年号(または新品)問題への対応策は?
「経産省製造産業局長と国土交通省土地・建設産業局長は連名で17年3月29日、建設業団体の長に対し『電線の取引条件の改善に向けた取組について』として要請文を発出された。この要請文のなかで、年号(または新品)問題にふれているので、これをご参照願いたい」

 電線の日を制定し、次は魂入れる必要がある

——Ⅴの各分野の情報収集などについては?
「最近、会員のなかで、建販3品種以外の品種・製品を取扱うメンバー企業が増えてきた。そうした品種・製品の情報入手などの強化・充実を図りたい。
また、関東電販『関若会』などの若手の人達に、業界関連団体等と活発に交流を重ねたり、研修会を実施したりして3品種以外の情報入手や業界及び各社の発展に繋げて貰いたい」

 —11月18日が電線の日に制定されたが?
「『電線の日』という仏はできたと思う。次は、仏に魂を入れる必要がある。ユーザーの電材店の皆様からも最近、電線ケーブルは魅力がなくなってきたと言われている。確かに各社の本業である電線は、社会的には大事な産業だが、あまり元気がない。元気を取り戻し、電線ケーブルを魅力ある商品にしていかなければならない。
これからは、11月18日の『電線の日』を喜んで迎えられるようにしたい」

 —19年の全電連の最重要課題は?
「既に挙げたが、物流問題改善といえるだろう」

電線新聞 4156号掲載