潮流発電技術とIoT技術を融合
長崎大学と京セラ(株)は、海洋データの収集を目的とした「エナジーハーベスト型スマートブイ」を開発した(写真1)。
写真1 エナジーハーベスト型スマートブイ(左:SLTT、右:VTT)
●開発の背景
昨今、問題となっている海洋汚染や海水温上昇などの解決には海上で継続したデータ収集を行う必要がある。その課題には安定した電源供給が不可欠だ。そこで、長崎大学の潮流発電技術と京セラのIoT技術を融合し、海洋データ収集に必要な電力を、ブイに搭載した潮流発電システムで賄う「エナジーハーベスト型スマートブイ」の試作機による実海域試験が実施された。
●試作機の概要
同機は、潮流発電システムを搭載したブイで、「GPSマルチユニット※」(写真2)とセンサに電源を供給する。
写真2 GPS マルチユニット
同試作機はSLTTとVTTの2タイプ(第1表)。SLTTは、ブイと発電部が分離し、タービンの周りにタービン保護、潮流の増速効果があるディフューザーを採用。VTTは、ブイに発電部が直結し、潮流によってブイが傾くことを考慮し、AIを活用して設計された。
第1表 実験中の発電量、消費電力量
●実海域試験の結果
大潮から小潮までの9日間、内蔵の加速度、温湿度等のセンサに加え、外部接続した水温、流速、バッテリ電流など計21チャンネルのデータをセンシングし、クラウドに送信。実験中の発電量や消費電力量は第2表の通り。
第2表 実験中の発電量、消費電力量
●今後の取り組み
商用利用を念頭に機能追加や小型、軽量化に取り組むという。※ GPS等による位置情報に対応し、各種センサとアンテナを搭載したIoT端末。