塩ビレジン可塑剤含め W値上げ今年3度目
塩ビコンパウンド㎏40円以上UP
先月、可塑剤メーカー大手3社と塩ビメーカーの信越化学が、相次ぎ値上げを打ち出した。他の大手塩ビメーカー3社も早晩、ほぼ同等の値上げを打ち出す見込み。上げ幅(㎏)は、可塑剤(46円超~51円超)、塩ビ(40円超)とも、過去最高または高水準となった。連鎖し、コンパウンドメーカーも、コンパウンド換算で㎏40円超の過去最高の値上げを打ち出す模様。これをVVF2心×2・6㎜(㎞)で目付換算すると、3千760円以上のコスト増になる。銅価が㌧110万円台で高止まりする中、塩ビコンパウンドなどの値上げは霞むが、コスト高は変わらず、相応の値戻しが必要になってきた。
銅価が10月19日に134万円/㌧の最高値となり、11月5日現在でも115万円/㌧と高止まりする情勢下、同様の現象が電線用石化業界でも発生している。
可塑剤と塩ビの値上げは、過去最高または高水準となっている。可塑剤は先月中に、大手3社の値上げが出そろった。今年3回目あるいは4回目の値上げになる。
具体的な値上げ幅と実施日は、ジェイ・プラスは、電線向けが多いフタル酸系可塑剤(DOP、DINP、その他フタレート)が47円以上/㎏。11月1日納入分から。
新日本理化は、同フタル酸系可塑剤全般を対象に、バルク品(ローリー)51円以上/㎏、包材品(ドラム・缶)61円以上/㎏。11月1日分から。
シージーエスターは、同フタル酸系可塑剤(DOP、DBP)を46円以上/㎏、同(DINP)20円以上/㎏。11月10日の納入分から。
値上げ要因は、3社ほぼ同じであり、業界トップのジェイ・プラスでは「原油・ナフサ価格が騰勢を強める状況下、今年第4Q(10~12月)の国産ナフサ基準価格は、6万1千円/klを超える水準が見込まれている。
加えて、主原料のオキソアルコールは需給のタイト基調が継続し、国際市況の大幅な上昇による内外価格差拡大を背景とした価格改定も発表されている。今回の値上げは、今後も原料を確保し現状の供給を維持していくため」とした。
塩ビ値上げ、今週か来週中にも㎏40円超
一方、塩ビメーカーの信越化学は、塩ビレジンを㎏あたり40円以上、値上げすると打ち出した。実施は11月21日納入分からとした。
同社は今回の値上げ要因について「当社は今年、塩ビの値上げを2度実施したが、その後も原油、ナフサ価格は上昇。さらに設備メンテナンス費用の上昇も続く。加えて海外の塩ビ価格はすべての地域で上昇が続いており、国内価格の倍または、それ以上の水準となっているため」とした。
同業大手3社(大洋塩ビ、カネカ、新第一塩ビ)も、環境は同じことから今週中か来週中にも、ほぼ同じ上げ幅で、値上げを打ち出す見込み。
可塑剤と塩ビの値上げはやがて、塩ビコンパウンドに連動する。ただその際に、塩ビの最大需要家であるパイプメーカーとの値上げ交渉が決着してから、コンパウンドや電線メーカーとの塩ビ値上げ交渉が本格的に動き出すことになる。
しかし、可塑剤は塩ビの硬質パイプメーカーのような大型・特別顧客が、ほとんどいない。従って、塩ビコンパウンドメーカーや塩ビコンパウンドを直練りしている電線メーカーは、可塑剤分の値上げ交渉に、それぞれ個別に本格的に入っている。
塩ビ樹脂と可塑剤は、今年3度目のダブル値上げになる見込みだ。可塑剤と塩ビレジンの双方の値上げ分を塩ビコンパウンドに換算すると、㎏あたり40円以上、上昇するとみられる。こうした上げ幅は、史上最高になる模様だ。
塩ビコンパウンドの値上げ幅は、40円以上/㎏となる。
これをVVF2心×2.6㎜(㎞)で目付換算すると、3千760円以上のコスト増になる。銅価が㌧110万円台で高止まりする中、塩ビコンパウンドなどの値上げは霞みがちだが、コスト高は変わらず、相応の値上げが必要である。