信越化学工業 成形用シリコーンゴム開発 車載高圧ケーブル向け

信越化学工業は2日、車載向け高圧ケーブルの被覆材に最適な、成形用シリコーンゴム「KE―5641―U」を開発したと発表した。
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)では駆動システムの高電圧・大電流化が進み、車載用高圧ケーブルには高い耐電圧特性が求められている。従来の被覆材を用いた場合、絶縁性能を確保するためにケーブルの被覆層が厚くなるため、柔軟性が失われるという課題があった。一方で、自動車メーカーからは配線作業がしやすい柔軟性に優れた高圧ケーブルが求められている。
同社が独自に開発した「KE―5641―U」は、これらの課題の解決に資する成形用シリコーンゴムで、高い耐電圧特性により高圧ケーブルの被覆層を薄くしても絶縁性能を確保できる。また、被覆層の薄さはケーブルの柔軟性向上につながるとともに、ケーブルの細径化や軽量化も実現している。
主な特長は以下3点だ。①業界トップレベルの高い耐電圧特性を実現し、絶縁破壊の強さは40kW/mm(当社従来品は26kW/mm)。②シリコーンゴム製のため、耐熱性、耐寒性、耐候性、難燃性など、数多くの優れた特性を兼ね備えている。③非シリコーン系の被覆材料と比較して、長期信頼性に優れている。
また同製品は、車載以外の産業機械、鉄道設備、エネルギープラントなどに用いられる高圧ケーブルの被覆材にも使用でき、高性能化や信頼性の向上に寄与する。同社は、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かして、高機能のシリコーン製品を開発・供給することで、顧客のさまざまな課題解決に努め、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。

電線新聞 4311号掲載