欧州電線視察レポート⑤ SAMP 電線製造の各工程間を自動化 アジア市場でシェア拡大を計画

【欧州電線視察レポート⑤】

電材貿易が取り扱う伊・SAMP社のユニ・ヘイノネン取締役会長が本紙のインタビューに応じた。同社は4月に開催された「wire 2026」で最新設備の実機を展示した。電線製造総合機械メーカーの同社にとって、商談の大半は工場の自動化に関する内容だったという。注力ポイントに工程間の自動化を掲げるヘイノネン会長に、注力エリアやDMシリーズの開発プランを聞いた。

 —「wire 2026」会場の様子は?

 「前回と比較すると、全体的に活気に欠ける印象であった。来場者の約70%は欧州からの参加者だった。良い点としては、来場した顧客のほぼ全員が具体的なプロジェクトに関わっていたことだ。その結果、商談の質はとても高いものとなった」

 —顧客の関心が高かった分野は?

 「当社はエネルギーケーブル製造に関して、フルレンジの製品を供給できる数少ない企業であることから、商談の多くは工場レベルの自動化であった。人材不足、安全性の確保、OPEX(運用コスト)削減といった課題を解決する手段として、ワイヤー・ケーブル業界でも工場自動化に関する議論がようやく本格的になってきた」

 —御社の成り立ち・歴史は?

 「1936年の創業以来、世界最高水準のワイヤー・ケーブル製造機械を提供し、数十年にわたって事業領域を戦略的に拡大してきた。1993年には撚線機・バンチャー市場へ、1997年には押出ライン市場へ参入し、SAMP USAおよびSAMP Chinaの設立によって国際的な存在感・プレゼンスを強化した。

 近年は、Euroalpha(ユーロアルファ社)、De Angeli(ディアンジェリ社)、Euro Extrusion(ユーロ・エクストリュージョン)、Cortinovis do Brasil(コルティノービス・ド・ブラジル社)の買収を通じて、技術ポートフォリオを大幅に拡充した。さらに2022年には大型撚線機市場へ参入し、ワイヤー・ケーブルバリューチェーン全体における存在感を一段と高めている。

 現在は、単なる機械メーカーから、革新・専門性・性能を融合した統合技術を提供する『総合ソリューションプロバイダー』へと進化している。2021年以降はHDV Partnersの支援を受け、成長と技術革新を継続的に推進している。

 そして今年、ボローニャ市の北東に位置するグラナローロ・デッレミーリア市のクアルト・インフェリオーレ地区に新本社を開設することで、SAMPは未来への揺るぎないコミットメントを改めて示し、技術を具現化し、世界中の顧客が潜在能力を最大限に発揮できるように支援する」

創業100周年へ

 —創業100周年への思いは?

 「今年創業90周年を迎え、100周年の節目に到達する数少ないワイヤー・ケーブル機械メーカーの一つだ。主に伸線分野において、常に技術的リーダーとしての地位を確立してきた。今後は提供する製品レンジを大幅に拡大していく予定だ。次のステップは、個別のケーブル製造プロセスを統合する自動化の実現だ」

 —注力しているエリアは?

 「主要市場はEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域だ。一方で、アジアにおける展開も加速し、バンコクに営業拠点を新設したほか、アジアの顧客向けに『アジア仕様』の製品レンジの開発を進めている。アジア市場でのシェア拡大と、より地域に根ざした企業となることにコミットしている」

 —重点テーマは?

 「エネルギーケーブル製造における主要工程の大半を自社で一貫して手掛けていることから、個々の工程を自動化して相互に統合することだ。ケーブル業界の自動化は他産業と比較して大きく遅れを取っている。ケーブル機械メーカーは、伸線、撚り線、押出といった単一工程の最適化には優れている一方で、工場全体のプロセスを最適化して生産性を向上させるといった取り組みは十分ではなかった。この領域こそが、今後の発展に向けた重要なテーマだ」

 —伸線機DMシリーズの今後の開発プランは?

 「前述のとおり、ケーブル製造プロセスにおける自動化は今後さらに進展するだろう。現在取り組んでいるテーマの一例として、リールハンドリング、機械への線通し、線掛け作業の自動化、そして潜在的な保守ニーズを検知するためのセンサーの高度化などが挙げられる」

顧客対応も重要分野

 ——アフターサービスなどの展開は?

 「カスタマーサービスは最重要分野だ。売上の50%をカスタマーサービスから生み出すことを目標としており、現在は約30%に達している。質の高いサービスを提供するためには、顧客に近い場所で、より高度なスキルを持つ人材を確保する必要がある。この分野の強化には取り組んでおり、すでに複数のサービスセンターを開設している。

 もう一つ重要なのは、予防保全を目的として生産ラインに直接アクセスできる体制を構築することだ。ただし、顧客のITシステムは外部接続が制限されている場合が多いため、実現するには顧客との緊密な協力が不可欠となる」

 —今後の御社の展開は?

 「顧客が抱える問題を解決することだ。熟練人材の不足は深刻な課題で、ケーブル製造プロセス間の自動化をさらに進める必要がある。

 各工程をタンデム化することが不可能であることは、業界内で広く認識されている。例えば、ロッドブレークダウン(荒引き伸線)とリジッドストランダーでは、生産速度も製造プロセスも大きく異なるため、連続化は難しい。このように、各工程の特性差が大きいことから、注力すべきは工程間の自動化である。

 当社は主要な製造プロセスをすべて自社内に保有しているため、このアプローチにおいて業界をリードする立場にあると自負している」

電線新聞 4436号掲載