電線製造機械メーカーでありロボットSIerの顔も持つHCI(大阪府泉大津市・奥山浩司社長)は、モバイルマニピュレーションAIロボット「ロボボにゃん」を開発製造しており、既に客先への納入実績もある。
同社は、年末までに現行の「RMM―01C」機からバージョンアップさせ、VLAモデルのAI搭載を目指す。VLAとは、視覚・言語・行動を統合したAIモデル。カメラ映像と人間の言葉を理解してロボットの動作出力を行うことで、脳の役割を果たす。
世界的にマルチモーダルAIやフィジカルAIの開発競争が行われ、日本は中国や米国に一歩後れを取っていると言われるが、HCIは国産のヒューマノイド(人型)ロボット開発を進める稀有な企業で、海外からも開発製造依頼が舞い込んでいるという。
海外大手ロボットベンダやEVベンダでは二足歩行の人型ロボット開発が主流だ。しかし、HCIは迅速なマーケットインとそこからのフィードバックを優先し、「ロボボにゃん」は足回りにAMRを備え、その上に猫型の双腕7軸多関節ロボットを搭載している。現行の「RMM―01C」では、腹部にデジタルサイネージと可搬重量30kgのトレーを搭載し、物品搬送も可能。また、足回りには障害物を回避するための物体検出AI、頭部には顔認識AIと自然言語処理AIを搭載しており、画像を認識し音声にも対応できる。初期設定ではサンプルプログラムのみを実装しているが、アカデミック(学習)ロボットなのでニーズに応じて二次開発を施してからの出荷も可能だ。
新たにVLAが搭載されれば、VLM(視覚言語モデル)による画像とテキストを関連付けた理解のみならず、ネット上の膨大なデータからAIが最適解を推論して実行に移すことまで可能となる。つまり、人間がロボットに学習させる手間さえ不要になり、省力化にも貢献し得る。
RoboNextでお披露目
フィジカルAIの社会実装は端緒についたばかりだが、工場内の製造工程や工程間搬送、自動運転や災害救助など、その用途は無数に存在する。しかし、実装までの課題はまだ多い。物理的な安全性の問題や超低遅延の通信インフラ整備、GPUなどのコンピューティングコスト、さらにはフィジカルAI自体が現場で学習を行う時間的コストも課題だ。
ただ、HCIのラボでは、デジタルツインによる仮想空間で実機投入の前にシミュレーションを重ねられるため、時間の節約とともに、現場学習における物理的リスクの低減にも貢献できる。
なお、VLA搭載型の「RMM―01D」は12月2~4日に開催予定のRoboNext(インテックス大阪)でお披露目予定で、2日に奥山社長が「日本の勝ち筋」をテーマに登壇し、最新機種を紹介する。









