地震・火災など突然の災害に対して電設業界ができること、すべきこと。
日本は世界有数の自然災害大国といえます。阪神淡路大震災や東日本大震災、そしてまだ記憶に新しい熊本地震や大阪北部地震など、たびたび震災に見舞われてきました。また地震による火災も、深刻な被害をもたらしています。
今後も南海地震、東海地震、首都直下型地震などが予想されており、予断を許さない状況が続いています。
阪神・淡路大震災とライフライン
1995年(平成7年)1月17日午前5時46分、兵庫県南部を震源とする大規模な地震が発生。5万人におよぶ死傷者と、住宅損壊64万棟という甚大な被害をもたらしました。
経済被害としては住宅・店舗・工場などの建物が約5兆8千億円、港湾や道路などの社会基盤は約2兆2千億円、ライフラインが約6千億円、被害総額はじつに9兆9千億円。これは日本の国家予算(18年度・約97兆円)のほぼ1割に相当する額です。
それから16年後の2011年に発生した東日本大震災は、死者・行方不明者1万8千人、全壊した建物約12万戸、被害総額は16兆円ともいわれています。2017年4月に発生した熊本地震においても、3千人以上の死傷者と約21万棟もの家屋被害を出しました。
地震が起きた際、まず最初に求められるのは警察と消防、あるいは自衛隊による被害者の救出、行方不明者の捜索。そして次に求められるのは、ライフラインの復旧です。
蛇口をひねっても水がでない。消えたままの灯り。つながらない電話…私たちの生活に必要不可欠なライフラインの復旧は、災害時にいち早く求められるものです。
阪神・淡路大震災のあと、ライフラインが復旧するまでの日数を示したデータがあります。
停電・約260万戸 → 6日
ガス・約86万戸 → 84日
水道・約45万戸 → 90日
電話・約10万戸 → 14日
これは完全復旧までに要した日数ですが、電気関連の復旧の早さには目を見張るものがあります。この震災において約4千本の電柱が倒れ、260万戸が停電しましたが、震災から1週間を待たずしてすべての家庭に明かりが灯りました。(倒壊家屋を除く)
この奇跡的な復旧の裏には、電力会社社員とのべ2万人を越える民間工事業者の昼夜を問わない懸命な作業があったことはいうまでもありません。
災害が起きた際、復旧工事に尽力することは、われわれ電設業界の使命といえますが、また平常時においても顧客に対して心構えや安全機器の取り付けなどを提案していくことも、私たちの重要な仕事ではないでしょうか。