4K・8K対応 受信機器特集

実用放送開始!予想以上の反応


昨年末、4K・8K実用放送が開始した受信システム機器市場。2020年までに全国約50%の世帯で視聴されることを目指す政府・総務省もPRに力を入れており、当初予想していた以上の反応があったようにもみられるが、主要メーカーは2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて4K・8K受信機のさらなる普及に力を入れる。


本格的な普及へこれからが正念場

電子情報技術産業協会(JEITA)の1月の薄型テレビの国内出荷実績は32万2千台で、そのうち4K対応テレビは16万5千台と薄型テレビ全体のなかで占める割合は51.2%となった。4K対応テレビが占める割合は、昨年6月に初めて5割を超え、4K・8K実用放送が開始された12月は56.6%を記録した(表1)。

一方、昨年4月から9月までの半年間の受信システム機器国内出荷実績は、テレビ受信アンテナが前年同期比121.9%の48万1千本、能動機器が同104.1%の93万台、受動機器は同101.7%の465万5千台で、いずれも前年同期比を上回った(表2)。

また、新4K・8K衛星放送対応テレビならびに新4K・8K衛星放送対応チューナーの市場動向を把握すべく実施した出荷統計調査では、1月までの新4K・8K衛星放送対応テレビならびに新4K・8K衛星放送対応チューナーそれぞれの国内出荷実績の累計は、対応テレビの数量が29万7千台、対応チューナーの数量が18万8千台となった。
これに日本ケーブルテレビ連盟からのヒアリングによる、CATV用STB9万9千台を加えると、トータルで58万4千台の新4K・8K衛星放送視聴可能機器が出荷されていることになる。(表3)

放送サービス高度化推進協会(A—PAB)は、1月下旬に開催した「4K・8Kワークショップ2019」において記者発表会を開き、昨年12月末までの4K・8K受信機の累計台数を約45万台と公表した。
福田俊男理事長は「新4K・8K衛星放送がスタートしてから2カ月近く経ったが、出荷台数などをみても予想以上の反応があったという印象だ。放送はまだ始まったばかりでこれからが正念場で、4K・8Kを受信できる機器の拡大が必要となる。今年は2020年のオリンピック・パラリンピックにつなげる重要な年となる」と述べている。
木村政孝理事は、新4K・8K衛星放送受信機器の出荷状況や家電量販店などと情報交換した結果を報告。出荷状況についてはJEITA発表の12月末までの累計出荷台数が内蔵テレビとチューナー(単体)、日本ケーブルテレビ連盟からのヒアリングによるCATV用STBを合算した数値が45万台となり、家電量販店との情報交換についてはスタート当初に一部で「PayPay」の効果で全体として商品の品不足が発生するほど売れ行きは好調だったことや今年の商戦の山場は消費増税前の8月〜9月と予測していることなどが報告された。

実用放送が開始され、2020年のオリンピックに向けて需要が高まることが予測されるが、各メーカーはどのような見通しを立てているのか。
DXアンテナの長代輝彦社長は、「今後の4K・8K市場については、超高精細な映像の魅力を一般の視聴者様にどれだけ伝えられるかが、さらなる活性化を図る上で重要だと考えている。実際に放送が始まり、量販店様の店頭で新4K・8K衛星放送を目にする機会が増え、より多くの視聴者に興味を持っていただけるようになった。当面のゴールは2020年の東京オリンピック・パラリンピックだが、本年にはラグビーW杯が開催されるなど世界が注目するイベントを控えるなかで徐々に市場の盛り上がりも高まっていくと考えている。とはいえ、地デジ移行時のような爆発的な売れ方ではなく、緩やかに上昇していけばよいと思う」と語る。
一方、マスプロ電工の端山佳誠社長は「弊社は新4K8K衛星放送が受信できる機器を業界に先駆けていち早く市場投入し、昨年末に投入した4Kチューナーも含め戸建てや集合住宅における受信点から端末まですべての4K8K機器をラインアップした。4Kチューナーの引き合いも着実に増えている。A—PABのアンケートでも4K8K放送を認知して見たいといった人の割合は増加しており、潜在的な需要はまだまだあると考えている。総務省が発表したロードマップでは2020年には日本の総世帯の半数で4K8K放送を楽しめる環境の実現を目指しているが、そのためには今年はさまざまな施策を打っていかねばならない。われわれも既存住宅において従来のテレビ受信機器から新4K・8K衛星放送に対応する機器への改修工事やサポートなどやらなければならないことが数多くある」と語る。
電材業界の活性化のためにも、「工・製・販」の緊密な連携で4K・8Kの主導権を握りたいところである。