先月、東京ビッグサイトで第27回セキュリティ・安全管理総合展「SECURITY SHOW 2019」が開催され、多数の来場者を集めた。一般ユーザーの防犯への意識も年々高まっている。
「SECURITY SHOW」では、防犯カメラ、ホームセキュリティからテロ対策、オフィスの管理まで社会の「安心・安全」を守る最新のセキュリティ製品やサービス、ソフト、IoT・情報セキュリティや災害対策、AIによる画像・映像認証技術が展示されていた。
なかでも、顔認証システムの紹介が多く、認証スピード、認証精度の高さをアピール。企業における社員の出退勤管理や外来者記録などでより精度の高い管理ができ、安心・安全にもつながることから興味の対象となっていた。
ほかにも、生体認証では、認証の精度を上げるため顔と静脈、虹彩と顔など複数の認証を組み合わせ、設備などのトレーサビリティ用に権限のない人の入室、機械ヘの不正アクセスを未然に防ぐ、従来のIDカードに変わるシステムが提案されていた。
昨今、街中の多くの防犯カメラが捉えた犯罪の証拠となるような映像が多く報道されている。会場内にも防犯カメラが多数展示されたが、解像度や画角などのアピールのほか、マルチ画面化などカメラとモニターとの連動などについても紹介された。防犯灯との組み合わせによって、より精度の高い画像が得られるといった提案もあった。
同時開催された「ライティングフェア」でもみられたが、「SECURITY SHOW」でもカメラ、照明、スピーカー、センサーなど異なったものの組み合わせによる多機能製品が展示されている。これまでのようなメーカーの垣根がなくなっていることもあり、今後こうした製品はさらに増えるものとみられる。
今後のセキュリティ関連の展示会としては、6月6・7の両日にインテックス大阪で「防犯防災総合展2019」が開催される。
近年の社会経済情勢の変化は、一方で犯罪の多様化や巧妙化を招いている。工場、倉庫、資材置き場等への不審者の侵入・放火が相次ぎ、商品等への異物・毒物混入などは企業の社会的責任の根幹を大きく揺るがすものとなっている。
2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、より高度なセキュリティの構築が求められるといえる。法務省発行の「平成30年版 犯罪白書」によると、刑法犯の認知件数は,平成8年から毎年戦後最多を記録、14年には285万4061件にまで達した。その後、15年に減少に転じ、15年連続で減少しており、29年は戦後最少の91万5042件で前年比8万1078件(8.1%減)の減少となった。これは、刑法犯の7割以上を占める窃盗の認知件数が大幅に減少し続けたことにともなっている。
刑法犯の発生率の動向は認知件数とほぼ同様で、8年から毎年上昇し14年には戦後最高の2238.7を記録したが、その後は低下に転じて25年からは毎年戦後最低を更新している。
過去30年間の窃盗の認知件数ならびに検挙件数、検挙率の推移を見ると、7年から13年までは認知件数の増加と検挙率の低下が続いた。その後、14年から検挙率が上昇に転じ、15年から認知件数が減少に転じた。
29年の認知件数は戦後最少の65万5498件で、前年比6万7650件(9.4%減)の減少となった。また、同年の検挙率は前年より2.3ポイント上昇して31.2%であった。
29年における窃盗の認知件数の手口別構成比は非侵入窃盗が約半数を占めている。手口としては①自転車盗②万引き③車上・部品ねらいの順に多い。
最近20年間の侵入窃盗、乗り物盗及び非侵入窃盗の別に認知件数の推移を見ると各認知件数は13〜14年をピークに減少している。自動販売機ねらいは11年、自転車盗は13年、車上・部品ねらいは14年をピークにそれぞれ大きく減少している。万引きは16年以降おおむね横ばいで推移していたが、近年は減少傾向にある。
平成29年における窃盗の検挙件数の態様・別構成比は、非侵入窃盗が69.1%を占めている。手口としては、①万引き②車上・部品ねらい③空き巣④自転車盗の順に多い。
警備サービス業最大手のセコムは昨年末、20代以上の男女500人を対象に「日本人の不安に関する意識調査」を実施した。
このなかで、今後治安悪化や犯罪増加の可能性があると思うかという問いに対して「そのように思う」が20%、「どちらかといえばそのように思う」が61.4%と全体で8割以上が治安悪化や犯罪増加を懸念している結果となった。
その一方で、防犯対策の有無については、「防犯対策をしていない」が70.8%にのぼる。昨年からは微増したものの、今後の治安の悪化、犯罪増加の可能性は感じつつも経費等との兼ね合いもあって実際に対策を講じるまでには至っていないことがうかがえる。
電材業界においてもいまや、セキュリティ関連は期待できる商品の上位にあがっている。各メーカーにおいても本来の技術を応用したセキュリティ関連の製品が数多く発売されており、「工・製・販」がこれまで以上に連携を密にして需要を獲得することが必要不可欠となる。