【電線新聞】AlH増産 住友電工と古河

古河電工グループ 低圧アルミ電線を本始動


電線のアルミ化が動き出した。車用アルミワイヤーハーネス(AlWH)に加え、需要量が最も多い建販分野向けでも動き出した。クルマ向けアルミ電線は、自動車用WH世界シェア1、2番手の矢崎総業、住友電工の他に古河電工やフジクラも手掛けており、住友と古河は海外で増産に乗り出した。建販用途は、古河電工グループ(古河電工産業電線、古河エレコムなど)が、低圧アルミ導体CVケーブル等を品揃えし、今年度から本格展開を図る。


電線のアルミ化が動き出した。かつては携帯電話の基地局用同軸ケーブルとAlWH向けが、大半だった。しかし、最近、事情は変わった。基地局用高周波同軸は、この分野で世界シェア№1の米・コムスコープが、大半の製品でアルミ導体から銅導体に戻したためだ。背景には銅価が㌧100万円程まで高騰した当時に比べ、アルミのコストメリットが薄れたことがある、といわれている。

一方、同軸に代わるように新たに登場したのが、古河電工グループの建販用アルミ電線。最大の利点は、銅電線に比べ約5割の自重軽量化が図れることだ。何と言っても軽く、配線作業が楽に行えるのが、大きな特長。ビル等の建設工事の際、最初に仮設建設工事に役立ち、次ぎに本番の本設建設工事で本領を発揮するという。同社グループでは、『低圧アルミ導体らくらくCVケーブル』など多彩な品揃えで本格展開を図る。また、販促も兼ね顧客を対象に『同CVケーブル』の施工・工事講習会を実施している。

また、AlWH向けでは、自動車の電動化が進む中で、軽量化に寄与するアルミ電線の今後の需要増が期待されている。実際にマツダがAlWH採用に向け、自社の技法で取り上げているほどであり、カーメーカーの取り組みも熱心だ。一方、調査会社IHSオートモティブによると、世界市場における3・5㌧以下の自動車販売台数予測は、18年に1億台を突破し、20年には1億500万台近くまで伸びるとしており、有望視されている。

また、住友電工はAlWHについて、18年10月時点でカーメーカー10社(国内8社、海外2社)、全50車種に搭載されている、という。同様に古河電工も独自のAlWH技術を用いて、その採用数を伸ばしている。同時に住友電工は19年度以降、タイでAlWH用アルミ電線を増産する方針。さらに古河電工もWHの新規受注に応じ、比国のWH拠点で生産能力をアップし、AlWHの製造にも動き出した。

電線新聞 4161号掲載