【電線新聞】建販好調、車と医療堅調も 価格競争や配送費UP響く


中堅電線7社の18年度連結決算(一部2月期など)は、バラツキが生じた。営業損益で「増収増益」2社、「売上高横バイ増益」1社、「増収損失」1社、「増収減益」1社、「減収減益」は2社になった。各社得意分野が異なるが、売上では建販や医療向けなどが健闘。ただ、価格競争や原材料・配送費の上昇、米中摩擦などが営業利益を圧迫し、厳しい内容になった。


中堅電線7社の業績をみると「増収増益」は、平河HTとカナレ電気の2社。平河HTは、特に医療用特殊ケーブルと車載用ケーブルやエネルギー産業関連電線が堅調だった。営業増益は、銅価が昨年と同水準で成長分野での製品の売上増が貢献した。カナレ電気は、回復傾向にある国内放送市場が全体を牽引し、全6製品とも前年を上回った。営業利益は0.3%増に留まったが、売上高営業利益率は12.9%と電線業界の中で群を抜いて高い。
「売上高横バイ増益」は、オーナンバ1社となった。太陽光発電製品が減少したうえ、新興国の賃金上昇などで生産コストが増加した。一方、ハーネス加工用機械・部品部門、WH部門、電線部門の売上高の増加に加え、積極的な原価低減策や販管費の削減が寄与した。
「増収減益」はタツタ電線1社となった。売上高は、建販や電力向け電線ケーブル出荷が伸長し、この売上高が前年度比13.7%増加したのが寄与した。利益は、インフラ向け電線の製品構成の鈍化、自然災害などで、電線ケーブル事業が減益になった。これに加えシールドフィルム等の電子材料事業は、スマホ向けに需要が一段落し、第3Qに米中貿易摩擦の影響を受け減益を計上したのが左右した。
「減収減益」は東特電線と三ッ星の2社になった。東特電線は、売上高が、コンタクトプローブなどは増加したが、鉄道向け信号ケーブル、TV用FFCが鈍化したほか、電線の価格低下等の影響で、僅かに前年度を割り込んだ。営業利益は、受注減少や製品価格の低下に加え、人件費の増加、フィリピン子会社の新工場立ち上げの遅れで外注費や購入材料高等が響き2割近く減少した
三ッ星は、東京五輪や民間設備投資など建販向けが好調も、米中摩擦等の影響で工作機械やFA関連需要が低下し、減収になった。営業利益は、高付加価値製品の伸び悩みや、販売費及び一般管理費で手数料のアップや運賃運送費の増加で、減益となった。
「増収損失」はJMACS1社のみ。主力の電線事業が微増収だった。しかし、販売価額の低下や副資材・配送費のアップ、販売品種構成の収益性の低下などが響き、営業損失となった。

電線新聞 4163号掲載