昭和電線 古河電工 建販統合会社SFCCが認可へ

昭和CS取締役 黒須氏が社長
5社・5ブランド→4社・4ブランドへ

昭和CS取締役 黒須社長


昭和電線ホールディングス(HD)と古河電工は15日、6月に打ち出した建販電線の販売統合・新会社「SFCC」の設立に関し、公取委の審査を経て合弁契約を結んだと発表した。同時に新会社の本社を、昭和電線HDの本社がある川崎に置くことや新社長等も決めた。これで建販電線分野は現状の5社・5ブランド(矢崎、HS&T、フジクラ・ダイヤケーブル、古河電工、昭和電線)が来年4月から、4社・4ブランド(矢崎、HS&T、フジクラ・ダイヤケーブル、SFCC)に再編されることが確実になった。


新会社は、社名が「SFCC㈱」、統合ブランド名は「SWCC・FURUKAWA」になるなど、当初発表した内容が、ほぼ、そのまま決定した。今回、明らかになったのは新社長に黒須光明氏(昭和電線ケーブルシステム=昭和電線CS・取締役)を据える内定人事。また、昭和電線HDの本拠地(川崎市川崎区日進町)に本社を置く。資本金(予定)は、4億9千万円(出資比率は当初と同じ昭和電線HD60%、古河電工40%)とした。
統合ブランドの製造拠点は、昭和電線グループが昭和電線CSの三重事業所、古河工場(茨城県)、愛知工場、古河電工グループは古河電工産業電線の平塚工場(神奈川県)、栃木工場を予定。物流面では、昭和グループ物流子会社のロジス・ワークスと、古河グループ物流子会社の古河物流は、統合ブランド商品になる両社の物流加工・配送業務をロジスに集約する計画。また、製造会社・物流会社各社は、従来通りの資本関係を維持した事業形態を継続する。営業拠点は、本社(川崎)、関西支店、中部支店、東北支店、九州支店とし、昭和電線CSの主立った支店等が、新会社の営業拠点も兼ねる。

今回の提携は、昭和電線HDの完全子会社「昭和電線CS」と「SDS」及び、古河電工の完全子会社「古河エレコム」の3社が取り扱う建設・電販市場向け汎用電線の販売事業をSFCCに統合するもの。統合ブランド商品は汎用電線の主要建販5品種(IV・CV〈6・6<CODE NUMTYPE=SG NUM=5919>以下〉)・CVV・VVF・VVRと、この環境配慮型電線の両社ブランドを統合する。

昭和CS黒須取締役 SFCCの新社長へ

SFCCの初代社長に黒須光明氏が、20年4月1日付けで就任することが内定した。
【略歴】黒須 光明(くろす みつあき)氏=1963(昭和38)年10月4日生まれ、56歳。87年3月法政大学社会学部卒。同年4月に昭和電線電纜に入社、03年10月電機・産業システム営業部産業機器システムグループ長、06年4月に昭和電線ケーブルシステム営業統括部電機産業システム営業部産業機器・プラントシステムグループ長、11年5月営業本部中部支店長、14年6月営業本部関西支店長、15年6月取締役営業本部副本部長兼営業本部関西支店長を経て、20年4月からSFCCの社長へ。

8社・8ブランド→4社4ブランド 工事用汎用電線ケーブル

SFCCの発足で、建販分野は、5社(矢崎エナジーシステム、住電日立ケーブル、フジクラ・ダイヤケーブル、古河電工、昭和電線)・5ブランドが、来年4月から4社・4ブランド体制になる。18FY電線出荷銅量総計(電工会調べ)のうち建販電線のウェイトは、約48%。19FYの建販電線出荷量は、五輪や再開発等で増え、その割合が一段と増す見通し。大手の4社・4ブランドは、この大半を占める。従って今回の統合は、大きな意味を持つことになる。
一方、4社・4ブランド体制に至るには、次の経緯があった。電線業界は、需要の伸び悩みで83年下期以降、合成樹脂絶縁の配電線用電線・ケーブルに対して「特定産業構造改善臨時措置法(産構法)」の指定対象業種の適用を要請。84年に指定を受け、85年1月には通産省は「電線・ケーブル製造業の構造改善基本計画」を告知した。これによって合成樹脂絶縁電力電線・ケーブル製造グループとして古河グループ(7社)、大日(三菱電線)グループ(10社)、住友グループ(7社)、昭和グループ(7社)、藤倉(フジクラ)グループ(10社)、日立グループ(5社)、タツタグループ(2社)、矢崎グループ(2社)の8社グループ・8ブランドが誕生した。

共販6社が、出揃う

事業提携やブランド統合は、共同投資会社方式のグループが多く、84年8月に住友電工を軸に5社による共同投資会社「住電ケーブル」が発足したのを皮切りに、同年9月に古河電線販売、86年にフジクラ販売、ダイヤケーブル、昭和電線販売が設立。これで6社の共販会社が揃った。
その後、古河エレコムは13年に新満電を吸収合併した。また、住友電工と日立電線、タツタ電線によって住電日立ケーブル(HS&T)が設立し、03年から業務を開始。14年には住友電工が増資し56%株式を取得し、HS&Tのマジョリティを持った。フジクラ・ダイヤケーブルは05年に、フジクラと三菱電線によって発足。フジクラがマジョリティを得た。フジクラ・ダイヤケーブルは16年に製造部門を持ち、同時にその年にシンシロケーブルも傘下に入れた。
一方、矢崎エナジーと昭和電線、古河電工・古河エレコムの3社は、今まで独自展開してきた。ただ、3社とも、何らかの形で自社グループ内の再編を実施。その中で今回、昭和電線と古河電工は、系列の枠を飛び越え統合した。

電線新聞 4180号掲載