タイト感が続くエコ電線 19FY上期出荷量 史上最高 金額も好調

人手不足で、品薄懸念20FYも


活況な建販市場の中で、エコ電線と低圧〜6・kVCVケーブルの品薄が続く。特にエコ電線(EM電線ケーブル)については、電工会の出荷統計によると19FY上期は2万1千746㌧(前年同期比35・5%増)と史上最高に達し、第2位の14FY上期1万8万905㌧を約3千㌧上回った。


出典は電線工業会

建販向けエコ電線と低圧〜高圧6・kVCVケーブルが、タイトななか、とりわけ、エコ電線の快進撃が続く。電工会の出荷統計によると19FY上期は2万1千746㌧(前年同期比35.5%増)と2万㌧を上回り史上最高に達し、第2位の14FY上期1万8万905㌧を約3千㌧上回った。数量と同様に出荷額も259億1千900万円(同29.8%増)と建販電線品種の中でもかなり好調だ。エコ電線のうち、9割以上の占める電力用に至っては、出荷量2万1千193㌧(同36.0%増)、出荷額241億1千700万円(同31.8%増)とさらに伸びている。
ある大手電線メーカーでは「生産ラインはフル稼働を持続している。特にエコ電線は品種やサイズによってはショートしている。残業や休日出勤で需要に対応している状態」。また、複数の大手電線問屋によると「今年4月頃から、品種やサイズによっては品薄が継続し、調達ルートを増やし凌いでいる」という。裏打ちするように同出荷統計をみても4月以降、段違い平行棒のように伸びている。
一方、エコ電線用難燃剤やコンパウンドメーカーでは「造り切れないほどではない。最近、エコ電線用の材料は前年同期比で数割増えている。例年に無く、好感触」と電線業界ほどではないが、好調のようだ。
エコ電線のタイト感は、東京五輪や都市再開発、学校のエアコン設置、インバウンド用ホテル建設向けの需要が重なったのが主因。電線問屋や建販電線メーカーでは「品薄感は今年度一杯は続く」とした上で「人手不足で工期のズレが発生した場合には、新年度をまたぐ可能性もある」としている。

電線新聞 4183号掲載