一般社団法人日本電線工業会はこのほど、2018年度の電線需要見通しについて、2017年度見込みを含めてまとめた。内需は、下記日本経済マクロ指標を前提に、公知情報(電線出荷の足元状況含め)から統計的手法による分析に基づいた同工業会各社のアンケート結果を集約し、輸出部門については、国際問題専門委員会幹事会で策定した。
海外経済の不確実性などリスク要因も
足元の日本経済は、政府の経済施策の推進による雇用・所得環境の改善や海外経済の回復による輸出や生産の持ち直しが続く中で、個人消費や民間設備投資が改善してきており緩やかな回復基調にある。
2018年度においても海外経済の回復は続くと予想され、民需を中心とした景気回復が見込まれるが、中国では引き続き過剰債務問題が懸念されるなど海外経済の不確実性や金融資本市場の変動による影響など、リスク要因は存在する。
2017年度銅電線出荷見込み 内外需計68万6千トン
概要
2017年度の銅電線出荷見込み量は、内需66万6千トン(2016年度実績比0.4%増)、輸出2万トン(同19.0%増)と予測し、内外需計で68万6千トン(+0.9%増)と2014年度以来3年ぶりに増となる見通しである。内需は、通信、電力で前年度比減となるものの自動車で大幅増が見込まれることから2013年度以来4年ぶりの増と予測した。一方、輸出についても2014年度以来3年ぶりに増となる見通しである。
2018年度の銅電線出荷量は、内需68万6千トン(2017年度見込み比3.0%増)、輸出2万トン(同0.0%増)と予測し、内外需計では70万6千トン(同2.9%増)となり2014年度以来4年ぶりに70万トンを超える見通しとなった。
需要部門別の内訳をみると、電力、電機、建設・電販、その他内需部門で前年度を上回り、輸出部門は横ばい、通信、自動車部門は前年度を下回る見通しである。特に建設・電販部門は、東京五輪や首都圏大型案件等の本格的な立ち上がりにより需要を牽引することが期待され、それに伴い全体需要が回復するという予測となった。
アルミ電線の2017年度見込み量は、内需2万5千トン、輸出2千トンで、合計2万7千トンと推定した。これに対し、2018年度は内需2万6千トン、輸出2千トン、内外需計2万8千トンで、2017年度見込み比3.7%の増加と予測した。
需要見通し結果
〈通信〉
2017年度は、固定系通信の減少が進み、移動系通信の増加も鈍化が見られ減と見込まれる。
2018年度は、光化へのシフトが継続し、メタル電線の更新需要は期待できず減と予測した。
〈電力〉
2017年度は、再生可能エネルギーの連携線整備が予測に反して進まず、設備更新需要も縮小して減と見込まれる。
2018年度は、再生可能エネルギーの連携線整備や地中化などを含めた更新需要を期待して増と予測した。
〈電気機械〉
2017年度は、民間設備投資や家電の買い替え需要は堅調なものの、電力向けが伸びず横ばいが見込まれる。
2018年度は、民間設備投資や個人消費の堅調、エネルギー関連需要も上向くと期待して微増が予測した。
〈重電〉
再生可能エネルギーや設備更新需要が上向くと期待して増加を予測。
〈家電〉
個人消費の回復を期待するものの、海外生産シフト化も継続し横ばいと予測。
〈電子・通信〉
高機能品の需要増やIoT関連市場の拡大が期待され横ばいと予測。