【経産省】電技解釈を一部改正

近年の安全基準を踏まえて実施

経産省は、近年の安全基準の検討の進展等を踏まえて「電気設備の技術基準の解釈」(以下、電技解釈)を一部改正し、2月25 日に公布・施行した。
主な改正は以下のとおりである。

●太陽光関係の改正
太陽電池発電設備の支持物については、電気解釈第46 条において、日本工業規格(JIS C8955)に規定される強度を有することが求められている。
既存の鋼製架台に加えてアルミニウム合金製架台の標準設計仕様についても第46 条第3項に追加された。
併せて、小出力発電設備である太陽電池発電設備については、それらの仕様に従うことを求めるために電技解釈第200 条を改正し、実質的に「仕様規定化」を図った(ただし、太陽電池モジュールの支持物が技術基準を満たす強度等を有していることを構造計算書等で説明でき
る場合は、この限りではない)。
また、太陽電池発電設備を斜面等に設置する際、それによって土砂流出等が発生し、敷地外に被害を与えることがないように、電技解釈第46 条および第200 条に、土地に自立して施設される太陽電池発電設備の支持物の施設による土砂流出等を防止する措置を講じることを新たに規定した。

● 170 kVを超える特別高圧架空電線の離隔距離の改正
特別高圧架空電線は、放電による建造物の損傷や植物との接触による地絡または断線が発生しないよう、所要の離隔距離を取ることとしている。
諸外国における離隔距離の規程や事故実績等を考慮して改定したJESC E2012「170 kVを超える特別高圧架空電線に関する離隔距離」に基づく離隔距離を確保すれば安全が確保されると判断されたことを踏まえ、特別高圧架空電線の離隔距離に係る電技解釈第97 条、第98 条、第99 条、第100 条、第101 条、第102 条、第103 条において、当該離隔距離に係る規程を追加した。

● IEC 60364 規格の制改定への対応
需要場所に設置される低圧の電気設備は、電技解釈第218 条に規定するIEC 60364 シリーズの規格に基づいて施設できることとされている。
同シリーズの規格は随時制改定されているところ、近年制改定された7規格については、一部の箇条を除いて電技解釈に取り入れ可能であると確認されたため、同条(218 -1表)を改正した。

●JESC規格の最新版への更新
電技解釈で引用している第1表の規格について、保安水準には影響を与えない項目について改正が行われたことを踏まえ、規格の名称を最新版に更新した。

●産業標準化法施行への対応
昨年7月1日に産業標準化法が施行され、名称が日本工業規格から日本産業規格に改められたことに伴う規格の名称変更等、所要の改正を行った。

●改正の適用について
この規程の施行の際、現に電気事業法第48 条第1項の規定による電気事業法施行規則第65 条第1項第1号に定める工事の計画の届け出が行われ、もしくは設置または変更の工事に着手されている太陽電池モジュールの支持物については、改正後の電技解釈第46 条第4項の規定にかかわらず、従前の例によることができる。

オーム社「電気と工事」2020年5月号掲載