日本電機工業会 2020年度の電気機器見通し

国内生産見通し 5兆3563億円(前年度比100.5%)
新型コロナウイルスの影響で流動的

日本電機工業会(JEMA)はこのほど、2020年度の電気機器の見通しを取りまとめた。 2019年度の状況  2019年度の世界経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等、不透明な海外情勢から減速傾向となった。この影響を受け、わが国経済においては成長の伸びが鈍化した。また、新型コロナウイルス感染症の広がりが世界経済に新たな懸念を発生させた。  重電分野では、国内において2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた首都圏再開発による活況が一部残っているものの、中国経済の減速や世界的なCO2排出抑制の動きにともない石炭火力発電機器市場の縮小が継続している影響があり、前年度を下回ると見込む。  白物家電分野は、ライフスタイルが多様化するなか、省エネ製品・高付加価値製品など、消費者ニーズを捉えた製品等が堅調に推移したが、白物家電全体では前年度をやや下回ると見込む。また、昨年10月の消費税増税による駆け込み需要とその反動減がみられたが、年度を通してみるとその影響は2014年度増税時より小さいと見込む。  このようななか、2019年度の重電・白物家電機器を合わせた電気機器の国内生産は5兆3316億円、前年度比94・3%になると見込む。また、白物家電機器の国内出荷は2兆4561億円、前年度99・5%になると見込んでいる。 2020年度の見通し  2020年度の世界経済は、依然継続している米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題、新型コロナウイルス感染症の影響等、景気を減速させる懸念材料に一層注視する必要がある。  重電分野では、米中貿易交渉における第一段階合意により中国を中心とするアジア設備投資は回復に向かうとみており、前年度を上回る見通し。  白物家電分野は、上期に昨年度の駆け込み需要に対する反動減がある中、底堅い更新需要に支えられ下期には回復するも、年度では前年度を下回る見通し。  このようななか、2020年度の重電・白物家電機器を合わせた電気機器の国内生産は5兆3563億円、前年度比100・5%になると見通す。また、白物家電機器の国内出荷は2兆4079億円、前年度98・0%となると見通している。  ただし、新型コロナウイルス感染症が世界規模で猛威を振るい、国内外の経済に多大なる影響を与えている。今後、経済活動に与えた影響から回復するには時間を要すると予想されており、年度生産見通し額については流動的となっている。 (後日詳報)

電材流通新聞2020年3月26日号掲載