大阪メトロの照明 ④ 梅田駅のシャンデリアは照明専業のメーカー大光電機

梅田駅シャンデリア(昭和56年)

梅田駅蛍光灯シャンデリア群

現在の梅田駅

 梅田駅のホームの蛍光灯化は2度更新されているようだ。最初は昭和27年にアーチ天井に沿った直付照明が設置され、その後シャンデリアが設置された。シャンデリアに切り替わった時期は昭和30年代後半から昭和44年の間と推測される。
昭和30年代後半から昭和44年というと、昭和39年に梅田—新大阪間が開通、EXPO70・日本万国博覧会の開催が決定したのが昭和40年(1965年)9月。
それを受け、昭和41年に大阪市高速鉄道基本計画及び緊急整備5か年計画の延伸改訂が行われ、昭和45年(1970年)に新大阪—江坂間が、そして、北大阪急行鉄道により江坂—万国博中央口間が開通し相互乗り入れにより大阪市内より万博会場へ直接の乗り入れが実現した。
梅田駅のシャンデリアが設置された時期は、新大阪まで開通した昭和39年(1964年)から万博開催前年の昭和44年(1969年)の間であると考えられる。
梅田駅のシャンデリアの製造を担当したのは、照明専業メーカー大手の大光電機。
筆者が在籍していた会社で、すでに故人になられたが担当されていた先輩から、「万博を前に、梅田駅のシャンデリアの下部に石川県高岡の鋳物工場で製作された3方向に広がる受けを作ってもらうのに何度も鋳物工房に通った」とお聞きしたことがあった。
底部の3方向に広がる受けに上部の相似形のフレームから蛍光灯が配され中心部に反射板が設けられている構造となっている。
このシャンデリアにはFLR40Wの蛍光灯が、60本使われていた。
残念ながらこのシャンデリアは保存をお願いしたにもかかわらず、改修工事により取り外され新しいLED照明に変更されてしまった。
近代産業遺産として何らかの形で保存はしてほしかったと思うのは筆者だけだろうか?
現在、梅田駅はほぼ改修も終わり、駅のプラットホームに設置されたデジタルサイネージとしては世界一の規模だといわれるLEDサインとLEDによる間接照明ボックスが、フルカラーLEDで色が変わる仕様に変更されたと聞いているが、いままでにフルカラーで色が変化している様子を筆者はまだ見たことがない。

(中尾晋也)

電材流通新聞2020年6月25日号掲載