WAKU WAKU DENZAI特集

◆【WAKU WAKU DENZAI】ロゴマークの由来

・人と社会との繋がり、親しみやすさとエネルギーを感じさせるオレンジとしっかりとした重みのある信用感を出す黒のシンプルな2色で構成。
・四角い囲みに一文字ずつ「DENZAI」の文字を配置したイメージは、ブロックを一つ一つ集めて、横へ積み重ねていく力「アッセンブル」を表現。
(アッセンブル:組み立てる。ある目的のために集める)
・WAKUWAKUの「W」のみ大きく見せ、「Win Win」の関係も表現。
・また、オレンジのブロックのみを浮き立たせ、「DNA」を強調。
「アクションプラン2030」を通して、未来の働き手達のために、これからも「世代を超えて繋がる」という意味合いを持たせてある。


「ワクワクする電材業界づくり目指す」

電力システム改革の第3弾「発送電の法的分離」が2020年4月にスタートするなど、電設業界はいま、大変革時代を迎えその対応が求められている。こうしたなか、全日本電設資材卸業協同組合連合会は今年1月、「アクションプラン2030」を発表した。これは次世代の働き手が隆々と活躍できる業界を目指すためのもので、使命やビジョンを明文化し、スローガンを掲げた。13代会長として2期目を迎えた忍田勉会長は「ワクワクする『電材業界づくり』を目指したい」との持論【WAKU WAKU DENZAI】を具現化したもので、アクションプランのもとに業界の一層の結束が期待されている。

魅力ある 業界づくり

全日本電設資材卸業協同組合連合会(忍田勉会長)は今年1月、組合員企業を対象にした「経営戦略としてとらえる事業継続(BCP)策定講座」の全国開催を決定した。
この事業承継計画とは、講師を務める事継舎の佐藤雅信氏によると「災害に対する備え、例えば飲料水や毛布の備蓄ではなく、対策本部を設置することでもない。事業を継続するために従業員が一丸となって自社の強みを理解し、強み=こだわりを守り繋ぐための活動。事業に不可欠な自社のノウハウと業務を担う人材の育成を目指す取り組みが、事業を承継し、事業を将来にわたり継続することに繋がる。言いかえれば、その人にしかわからない事、できないことが社内にたくさんあるが、認識が低いのが現状で、従業員が休職・辞職した場合、業務が停止または品質の低下を招く恐れがある。本取り組みは、従業員の持つ属人化されたノウハウを洗い出し、業務の脱属人化につながる」と説明している。
奇しくも、新型コロナウイルス感染症の脅威が世界各地に広がり、改めて何が起こるかわからない事象を経験した。国内は、その脅威が若干収まりつつあるとはいえ、まだまだ楽観は許されない状況。“ウイズコロナ”としてこれまでとは違う生活様式への対応が求められており、まさにBCPがいま問われている。
忍田会長は「何事においても、リスクが顕在化した場合の対応を平常時に作り上げておくことの重要性。中小企業では一人の急な欠員が企業自体の存続にも影響しかねない」と今回の感染症で事業承継計画の重要性をNEW WAVE 4月号の巻頭言で述べている。
さらには、在宅勤務やテレワーク等が感染症拡大防止を機に一層進むと思われるが、いざ実施してみると「業務内容や労働時間の管理」、「外部からの大容量の接続にシステムが耐えられない」など様々な未整備部分が浮き彫りになっている。「高齢者の社会参加や女性の活躍推進など働き方の柔軟性を高め、労働の生産性を上げるうえで成果主義にも通じるテレワークは、我々業界にもいずれ本格的に入ってくる」と働き方改革に沿った新しい業務形態を提言する。
BCP講座はゼロベースで仕事、業務内容をいま一度見直す講座として、2年かけて全国7カ所の主要都市で開催を予定しているが、その狙いこそ“魅力ある電材業界づくり”にもつながる。忍田会長は、「何事においても業界は『ワクワクする電材業界づくり』を目指したい」と年初の抱負でも語っている。

人材育成のための「使命」と「ビジョン」を一層鮮明に

未来の働き手のために

2015年4月の広域系統運用の拡大を皮切りに、16年4月の電力の小売り全面自由化、20年4月からスタートした発送電の法的分離といった電力システム改革が実施され、電設業界は今日、大変革時代を迎え厳しい経営を強いられている。また業界そのものが第4次産業革命といわれるデジタル革命の波を受け、SDGsといった環境評価軸や働き方改革に沿った労働環境整備にも対応しなければならない。
こうした状況で電材業界や関連企業は、冒頭触れた「事業に不可欠な自社のノウハウと業務を担う人材の育成を目指す取り組みが、事業を承継できる」という事業継承の模索にも迫られている。
事業継承の要となる人材の育成こそ魅力ある業界づくりにもつながる。若手の業界入職は必要不可欠なものであるといえる。このため全日電材連は、人材育成のための『使命』と『ビジョン』を一層鮮明にする必要があることから、「アクションプラン2030~未来の働き手のために」を2020年1月に発表した。

■恵まれた環境?!
同プランは、「10年後、20年後の次世代の働き手たちが隆々と活躍できる業界を目指すこと」を目的に、同連合会に登録している100人ほどの若手経営者が中心となり、今後の業界のあるべき姿などについて意見を交換。これをベースにまとめたものであった。
その内容は、『使命』と『ビジョン』を明文化し、全日電材連の歴史も振り返った。また、『取り巻く環境』や『重点施策』、ロゴマーク【WAKU WAKU DENZAI】を制定、『スローガン』などを掲げたものであった。
この作成にあたって忍田会長は「IoT、AI、5G、SDGsなど次々とやってくる変化の波は、必ずと言っていいほど我々の本流の分野である電気(エレクトロニクス)と関連している。しかし、時代の変革によって厳しい将来が待ち受ける業界でない」と恵まれた業界を強調する。それでも「他の業界が手ぐすねを引いて参入を試みているのが現実で、競争に負けてしまう。これから先、Wi-Fiやデジタル化が更にすすめば、思いもよらぬ業界からの参入も視野に入れておかねばならない」と兜の緒を締める。
さらには、「電気はインフラのひとつ。地震や台風の影響でインフラが傷ついた時、早急に復旧に尽力いただいた電気工事店様は我々のお客様。いざという時には、地域密着の企業が必要だと再認識されたことと思われる。
アクションプランの方向性は、そのような背景をもとに、諸先輩が築きあげてきた、技能と地域密着の工事、商品アッセンブル力と営業力と地域密着の販売、時代の要請に応え世界のどこにも負けない商品つくりの製造。この三者がともに時代の要請に応えるための勉強をし、知恵を集め、行動を起こして、三位一体となり実際に商品を使用するユーザーにささる提案をすること」と工・製・販三者の役割を改めて確認した。

■電気設備とエネルギーの総合商社へ
「アクションプラン」が示す『使命』とは、「我々は社会インフラの一端を担っており、電気を通じて人々の生活を豊かにする使命がある」というもの。また、『ビジョン』とは「現場密着で、需要を創り出し、総合的な提案で、顧客満足度を高めるというもの。最新の商品を広く普及し、人々の快適な生活に貢献する『電気設備とエネルギーの総合商社』を目指す」と方向性を打ち出した。
一方、電材業界は時代とともに様々な変化に遭遇するが、時として、その変化を感じ取れないこともある。そのためには業界を改めて俯瞰することで変化を確実に感じとることができる。内外の『取り巻く環境』の変化を抽出し共有した。
外部要因として第一に、【地球環境】の変化を挙げた。
パリ協定CO2削減、天災リスク、電気自動車の普及▽SDGs(2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」)▽ESG(環境、社会、ガバナンスの頭文字をとった企業価値の評価指標)▽地産地消~地域でのエネルギーのシェア化▽シェアエコノミー経済の台頭(車、自転車、家、家電など)
次に、【ビックデータの活用】として、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の発展▽IoTの進展、AIの台頭。
【ICT環境の進展】では、5Gによる情報伝達量の増大とスピード化▽キャッシュレス支払いの普及。
【国際化】では、グローバルスタンダード▽外国人労働者の増加(新たな特定技能制度)。
【ヒトの変化】では、価値観の変化と多様性の尊重▽人生100年時代、終身雇用の崩壊▽人口減少、少子高齢化→くらしのアップデート。
業界の内部要因としてはまず、【電気の自由化】に触れた。
AI、IoT対応の新しい電気のカタチ→ワイヤレス充電、給電の進展▽通信業界、ガス業界の参入▽スマートメーター普及によるデータを活用した各種サービスの台頭▽太陽光発電を中心とした分散型発電の普及、蓄電池の普及
【商流変化】では、異業種参入、インターネット販売・リース販売の増加▽新規参入企業の製販の一体化、大手通販会社からの圧迫▽事業承継難による卸業組合員の減少、電気工事店の減少。
【働き手の不足】では、週休2日制への移行(採用対策)▽業界の魅力認知不足、異業種による社員引抜き問題▽請負、商習慣のしわよせ(配送、時間外)▽業界固有の働き方改革の課題(建築工程)▽電材業界をアピールして認知度をあげる必要。

■成長拡大と安定戦略
こうした変化を見極めたうえで、「成長拡大戦略と安定戦略」という『重点施策』を策定した。
「成長拡大戦略」では『接近営業』と『粗利の獲得』を2本柱に、製品主体のビジネスからソリューションビジネスへの転換、適正利益の確保という攻撃戦略を取った。
具体的には、
①工事店様と連携で人脈伝いの施主直接営業、OB施主営業(工・販の役割分担の明確化)
②卸業から「エレクトロニクス(電気)の専門商社」へ
③女性が活躍できる場(快適生活の提案)の拡充
④元請け比率の向上―など11の戦略で異業種との競合に対応。
粗利の確保として社員の意識改革や販売先、販売方法の洗い直しを行うとした。
一方、「安定戦略」では、企業が発展するための中長期計画書の作成と実行、経営力強化のためのBCP策定など5項目で『事業継続』を実践。『人財』では、経営理念の実践や採用、育成のための社員教育制度、評価制度の確立、労働環境整備など8項目を掲げた。
アクションプランでは企業が取り組むべき事案に加え、組合がとるべき支援策として業界の地位向上、情報交換や研鑽の場の提供といった人材育成、情報共有、労務環境改善支援なども決めた。
工事業界の地の利や技術力、メーカーの新商品、そして販売の知識や営業力――という三者の総合力でエンドユーザーに訴えていこうというものである。

■WAKU WAKU DENZAI
最後に、
①仕事が湧く湧く[エレクトロニクス(電気)関連の総需要は大きく拡大]
②気持ちがワクワク[エネルギーの電化による新分野での商売にビジネスチャンス拡大]  ――というスローガン【WAKU WAKU DENZAI】を制定し、ロゴマークを作成した。
ロゴマークには、「アクションプラン2030」を通して、未来の働き手達のために、これからも「世代を超えて繋がる」という意味合いなども持たせてあるという。
第13代会長として2期目に入った忍田会長は、攻守の守りの部分として事業継続の必要性を提言している。
「社会貢献のできる業界企業は、一社たりとも減らすことはできない。社員の採用、育成はじめ労働環境の変わる中、成長を続けられる、社員が夢を見られる企業を目指して、一緒に活動してまいりたい」と、【WAKU WAKU DENZAI】「アクションプラン2030」にかける強い決意と業界を愛する姿を覗かせた。
コロナ禍の新たな時代の構築に向けて工・製・販三者の新たな三位一体の取り組みが始まった。