大阪メトロの照明 ⑧ 心斎橋駅 高級感と上質感を感じられる空間に

心斎橋駅最終決定案
(「Osaka Metro広報資料」より)

現在の心斎橋駅(筆者撮影)

高級感と上質感を感じられる空間に

民営化された大阪メトロは、去る2018年12月20日に、地下空間の大規模改革として15駅のリニューアルデザイン案を発表。そのうち、御堂筋線中津駅、梅田駅、心斎橋駅、動物園前駅、中央線堺筋本町駅の5駅のリニューアルデザインを決定・公表し、以下の見解を示した。
「2018年の発表以降、お客様や地域の皆様をはじめ様々な方々からのご意見を踏まえ、多様性を大事にし、『各駅の地域性や歴史性を活かす』という当初から目指している方向性をより深掘りし、Osaka Metroの想い・意図が皆様にしっかりと伝わるよう、そして、より多くの方々にご納得いただけるよう奥山CDOの監修のもとデザインコンセプトやデザインをブラッシュアップしました。今後、残る10駅につきましてもブラッシュアップを進め、デザインが決定しましたらお知らせします」と発表した。
先行のデザイン案に対して反対署名活動をし、2万筆の署名を集めた大阪市立大准教授で建築史家の倉方俊輔さんは「大阪の地下鉄は先人の『大阪を良くしたい』という思いを表した設計だ。改装は大切だが、過去を尊重しつつ進めてほしい」という。氏の言葉のように大阪人の思いを大切に、リニューアルプランを進めて欲しいと思う。
発表された5駅のプランを紹介する。いずれも大阪メトロの発表資料を基にした。

【心斎橋駅】「ジ・オオサカ・ブランド」“The OSAKA Brand”

「昨年発表時は海外のファッションブランドが立ち並ぶ地域にあることから『テキスタイル』をデザインコンセプトとしていました。ブラッシュアップにおいては、多くのブランドショップが並ぶ地域との連続性を深め、大阪を代表する高級店が並ぶ現代の心斎橋を象徴する高級感と上質感を感じていただける空間を目指し、そのデザインコンセプトを『ジ・オオサカ・ブランド』としました。空間全体として開業当時のアーチ構造を活かし、シャンデリアはもとの佇まいを活かしながら最新のLED技術で復元することで長い歴史を感じていただける空間としています」
大阪メトロも先に提案した心斎橋駅の悪評には懲りたようで、心斎橋駅をメインに据えて今回は発表し、力が入っている。

電材流通新聞2020年7月30日号掲載