国交省 令和元年度建設業構造実態調査結果

国土交通省は9日、令和元年度建設業構造実態調査の調査結果を公表した。建設業構造実態調査は、建設業を取り巻く環境の変化等も踏まえ、建設業の基本的な産業構造及び、その中長期的変化を的確に把握することにより建設業の構造改善に向けた施策の企画・立案に当たっての基礎資料を得ることを目的に5年に1度実施している。

 ■調査結果のおもなポイント

 ○営業活動
直近の営業年度における1社あたりの平均完工高(海外完工高、兼業完工高を含まない)は、5億3930万円となっている。
1社あたりの平均経常利益額は3730万円となっており、全体的に増加している。
また、経常赤字となっている企業数が前回調査から4.6ポイント減少しており、建設業の経営状況が改善されていることがうかがえる。
総資本経常利益率(経常利益額÷総資本額)は、全体で7.0%と前回調査に比べ6.5ポイント増加している。
売上高経常利益率(経常利益額÷売上高〈国内・海外完成工事高+兼業売上高〉)は、全体で6.4%と前回調査に比べ3・2ポイント増加している。

 ○取引関係
工事代金については、工事施工後の現金受取が65.3%と最も高い比率となっており、次いで工事施工中の現金受取が17.9%、工事施工後の手形受取が7.2%となっている。
手形期間については、91日〜120日が49.2%、90日以下が40.9%となっている。
下請工事を受注した際の元請企業との契約締結方法については、基本契約書があり注文書と請書を交換するが25.7%ともっとも高く、次いで工事ごとの契約書が23.0%、注文書と請書のみの交換が22.7%で、書面を取り交わす契約は3項目合計71.4%で前回調査より1・5ポイント増加となっている。

 ○従業者
1社あたりの平均従業者数は13.8人で前回調査から0.3人増加している。
常雇等の雇用者数が1〜10人の企業が全体の69.1%、11〜30人の企業が全体の23・9%となっており、両者合わせて全体の93.0%が30人以下の企業となっている。
雇用者のうち女性の占める比率は、1社平均16.9%であり、前回調査より0.3ポイント増加しており、従業者区分別(事務・営業等/有給役員・個人事業主/技術系職員/現場労働者)のうち、現場労働者は横ばい、現場労働者を除くすべての区分で女性比率は増加している。
現場労働者への賃金支払い形態については以下の通りとなっている。
職長 月払い一定額61.5%/月払い日給月給21.3%
現場労働者 月払い一定額42.1%/月払い日給月給37.3%
臨時・日雇 月払い一定額15.6%/月払い日給月給54.7%
保険の加入状況については、医療保険加入ありが全体の89.5%で前回調査より1・9ポイント増加(加入なし1.6%/適用除外8.9%)、年金保険加入ありが全体の90.5%で前回調査より2.8ポイント増加(加入なし1.9%/適用除外7..6%)、雇用保険加入ありが全体の83.4%で前回調査より0・3ポイント増加(加入なし2・9%/適用除外13・8%)となっている。

電材流通新聞2020年10月15日号掲載