消防庁 「耐火電線の基準」を一部改正

60 V以下の低圧ケーブルを基準化

消防庁は、5月24 日に「耐火電線の基準の一部を改正する件」を公布、施行した。
対象となる最大使用電圧が60 V以下の低圧ケーブルについて基準化するとともに、「耐火電線の基準」(平成9年消防庁告示第10号)の一部が改正された。

●耐火電線の規定
自動火災報知設備の非常電源の電線は「耐火構造とした主要構造部に埋設することその他これと同等以上の耐熱効果のある方法により保護すること」(消防法施行規則第24 条第1項第4号ロ、第12条第1項第4号ホ)と定められているほか、「耐火電線の基準」に適合するものを使用できるとされている。

●改正の背景
同告示は、低圧または高圧ケーブルしか規定されていない。そのため、最大使用電圧60 V以下が主流となっている自動火災報知設備に対しても、現行の低圧ケーブルの基準を満たす電線を用いる必要があった。

●改正内容
(1)電線の定義
従来、強電流電気の伝送に使用する電気導体のみが想定されていたが、新たに弱電流電気も規定した。
(2)小型加熱炉耐火試験の判定の基準

①絶縁抵抗
【従来】
低圧ケーブルの絶縁抵抗のうち、加熱終了直前の規定値は「電気設備に関する技術基準を定める省令」第58 条より0.4 MΩを用いていた。

【新基準】
60 V以下の低圧ケーブルは、現行の低圧ケーブルの考え方に準じ、加熱終了直前の規定値は0.1 MΩを用いることとした。

②絶縁耐力
【従来】
低圧ケーブルの絶縁耐力の規定値のうち、加熱前および加熱終了直後の規定値については、「電気設備の技術基準の解釈」(以下、電技解釈)第9条第2項第4号イに規定する耐電圧試験値(最小値)1 500 Vを、加熱中の規定値については低圧ケーブルの交流最大使用電圧600 Vを用いていた。

【新基準】
60 V以下の低圧ケーブルは、現行の低圧ケーブルの考え方に準じ、加熱前および加熱終了直後の既定値は、電技解釈第181条第4項第4号に規定する小勢力回路用ケーブルの耐電圧試験値を350 Vとした。加熱中の規定値は、小勢力回路用ケーブルの交流最大使用電圧60 Vを用いることとした。

(3)その他
小型、大型加熱炉耐火試験の絶縁耐力の規定は低圧、高圧ケーブルともに「加熱終了後」における耐電圧試験の具体的な時点を規定していなかった。そこで、試験条件の違いによる影響が発生しないように、最も厳しい条件である「加熱終了直後」に試験を実施することとした。

オーム社「電気と工事」2021年8月号掲載