21暦年上期の総計31.4万t(0.2%増) 主要7部門別出荷 日本電線工業会調べ

車(20%増)、電気機械(12%増)牽引
建販(6%減) 12年上期並み

電線工業会がまとめた21暦年上期(1~5月実績、6月推定)の銅電線主要7部門別出荷数量は、建販や通信、電力、その他内需など5部門が前年同期を割り込んだものの、電気機械と自動車の2部門がプラスになったため、総計は31万4千90㌧で前年同期比0.2%増と微増になった。ただ、コロナ禍の影響がまだ続いている。暦年上期では、リーマンショック直後の09年上期以来の低水準になる模様。

銅電線主要7部門別の出荷数量の動向をみると、前年同期比プラスグループは、電気機械と自動車の2部門となった。
電気機械は、自動車の電装用途と半導体、センサー類、シールド、FA・ロボットや工作機械向けが動いたうえ、医療向けも善戦しており、同12.2%増と二桁の伸びになり、10カ月連続で伸長した。17年以来、4年ぶりの増加になった。とりわけ自動車の電装用途を軸に半導体、FA・ロボット向けが動き健闘を続けている。ただし、かつて電気機械の月間出荷量は1万3千~1万4千㌧あったが、最近は、この数値に達することは少ないため、まだ本調子には至っていない。
自動車は、自動車の生産台数と連動し同20.1%増と最も高い伸びを示した。リーマンショック前の08年上期の4万8千360㌧以来の高い数値となった。今年2月に一度は前年同月を割り込んだものの、これを除くと昨年10月から毎月増加し、好調を持続している。次世代車は、センサーなどの搭載数が増加しWHの回路数が増えており、期待市場になっている。
一方、マイナスグループは、5部門となった。

通信は、5G携帯基地局用同軸が動いたが、需要の谷間が続き、GIGAスクール需要もピークアウトしたため同11.2%減と昨年10月から9カ月連続で下降した。
電力は、洋上風力発電向けが堅調で保守メンテナンスなども動くが、ほかはあまり動かず同8.2%減と5カ月連続で減少した。
建設電販は、5月に前年同月比5.0%増と16カ月ぶりにプラスに転じた。しかし、6月には再び同10.7%減と低下する見通しであり、上期は前年同期比5.8%減とした。コロナ禍に加えて、銅価高や石化高なども相まって電設と市販ルートともコロナ禍前までは戻らず、厳しい情勢が続く。また、21年上期の数値は、12年上期に最も近く、9年ぶりの低い数値になった。
その他内需は、コロナ禍等による景気低迷で民間企業の設備投資が鈍化して同11.4%低下し、16カ月連続で前年を割り込んだ。ただ、下げ幅は圧縮している。
輸出は4~6月に増加に転じたが、前半が振るわず同2.9%減少した。

電線新聞 4248号掲載