三ッ星は10月末、新製品「緊急災害用ケーブル(ED―CV)」の開発を発表した。同製品は耐張力・水密型のケーブルで、特定電気用品としての認可取得は今月末の予定。また、これに伴って同社は11月から海洋・河川向けケーブルを開発する「アクアラボ」を新設する。既に、各方面から海洋・河川分野の研究の要望がでている。
三ッ星は、自然災害に備えた新製品として先月末「緊急災害用ケーブル(ED―CV)」の開発を発表した。同製品は耐張力・水密型のケーブルで、特定電気用品としての認可取得は今月末の予定。また、これに伴って同社は、昨年2月に開設された技術開発センター内に、11月から海洋・河川向けケーブルの開発を目的とする「アクアラボ」を新設する。
最近、国内の自然災害は特に台風・大雨などによって水害が頻発する。こうした災害に伴うケーブル断線は、漏電・火災など二次災害のリスク要因となる。そこで同社は、①水密性、②柔軟性、③耐燃性、④耐久性といった特長を持つケーブル「ED―CV」を開発した。
まず特筆すべきは、「円形圧縮撚線」の採用により素線間の隙間を解消し、導体中央にPVC樹脂でコーティングされた同社独自開発の炭素ワイヤー心線を挿入して導体と密着させることで、水密性を実現した点だ。
また、絶縁体には耐熱XLPE、シースには耐熱・耐油PVCを採用することで、耐燃性(JISC3005の傾斜燃焼試験に適合)と柔軟性を実現し、炭素繊維ワイヤー心線はケーブル自体の耐久性に寄与している。
同社は、もともと水回りの特長あるケーブル開発に注力していた。イカ釣り漁で使用される集魚灯の電源ケーブル、水中工事に用いられるバックホウ・ポンプへの給電ケーブル、ダイバーが使用する水中溶接機械用ケーブルなど、海洋および河川の現場で実績を積み重ねてきた。とりわけ、水に浮く「フロートケーブル」は、海洋土木工事や港湾保全工事で扱う水中溶接機器の溶接用ケーブル、またダムや湖の工事で扱う水中ポンプと発電機を繋ぐ給電ケーブルとして、マリコンなどのユーザから高評価を受けている。
このような開発製品の実績と日本の現況を受けて、海洋・河川分野への進出拡大と技術開発力の向上を目指すべく、同社は11月より新たに「アクアラボ」を発足させた。アクアラボが設置される技術開発センターには、既に各方面から海洋・河川分野の研究の要望が届いており、同社では今後も新製品の研究・開発に注力するという。
比拠点のゴム電線投資生産量と販売量大幅増
同社は、設備投資や業務改善も積極的に行っている。昨年フィリピン子会社において、ゴム電線の新規設備投資を行った結果、生産量および販売量が大幅に向上し、今期からのゴム電線事業黒字化に寄与した。また、社内業務の合理化のために新基幹システムにも投資している。同社では「研究・開発機能の拡充に加えて、生産能力向上や合理化に繋がる設備投資も今後積極的に継続していく」と述べている。