全社増収、6社が増益 回復幅は各社でばらつき
中堅電線メーカー7社の22年3月期通期連結業績(一部21年12月期通期など)が出そろった。前期のコロナ禍による減収から順調な回復を見せ、全社の売上高が回復した。営業損益ベースでみても増益6社、減益1社となり、全体の業績はほぼ回復したとみられる。しかし新型コロナ感染症は完全に終息したとは言い切れず、東欧情勢やそれに起因する世界的な半導体不足など、不透明な状況は当分続くとみられる。
中堅電線メーカー7社の21年度通期連結業績は、全社が増収となった。1社が減益となった以外は6社が増益となり、全般的に増収増益と回復した。昨年度はコロナ禍によって苦戦したが、第3四半期よりみられた改善傾向が続いた。
本業の儲けを示す営業損益ベースでみると、増益が6社、減益1社(タツタ電線)となった。
タツタ電線は唯一減益になったが、電線・ケーブルセグメントでは増収増益。利益率の高い電子材料セグメントでの減収減益が原因とみられる。
平河ヒューテックは、21%増収、38%増益と、各セグメントで堅調に推移。特に電線・加工品事業で28%増収と大きく伸ばし、車載用ケーブルはコロナ禍前の水準を上回った。
東京特殊電線は2割増収、3割増益となった。売上高が伸長し、高付加価値製品の受注も堅調に推移したことなどにより、各利益部門で過去最高益となった。
三ッ星は価格転嫁が遅れた電線事業で増収減益だったが、他セグメントでのカバーで売上高営業益ともに2割増となった。
JMACSは9.6%増収、営業益は9倍と、ユーザーでのコネクタ調達難があったものの増収増益となった。
オーナンバは、産業用ワイヤーハーネスの大幅伸長や、ハーネス加工用機械・部品の車・産機向け需要が大きく貢献し、18%増収、営業益45%増と増収増益となった。
カナレ電気は売り上げ3.5%増、営業益10パーセント増と増収増益となった。コロナ禍に加え五輪終了などによる放送局関連の需要終息で減収になった一方、中・米・韓など海外の業績が好転し、国内の減収をカバーして連結売上高では増収となった。