全社増収も営業減益が3社 自動車減産が響く
大手電線メーカー4社の22年度第1四半期決算が出そろった。銅価上昇の影響もあり、4社ともに売上高が増加した一方で、上海ロックダウンによる自動車減産の影響で、各社で自動車向け電線が苦戦した。自動車向け事業の比重が大きいメーカーでは、特に影響が大きかった。資材価格の高騰や物流費の増加も各社の利益を圧迫した。
大手電線メーカー4社の22年度第1四半期の決算は、営業利益ベースでみると、3社が増収減益で、増収増益はフジクラのみとなった。
各社ごとにみると、住友電工は、売上高8千771億2千100万円(前年同期比11.4%増)、営業利益190億100万円(同34.4%減)の増収減益となった。5つのセグメントすべてで増収となったが、利益面では、環境エネルギー関連事業が減益となったほか、特に主力の自動車関連事業部門が損失となったのが響いた。上海ロックダウンなどによる中国・日本での自動車減産の影響が大きかった。
古河電工は、売上高2千602億9千300万円(同19.0%増)、営業利益10億6千400万円(同71.9%減)となった。やはり、自動車部品事業の落ち込みが大きく、同事業を含む電装エレクトロニクス部門は13億円の営業損失(同32億円悪化)となった。インフラ部門のエネルギーインフラ事業でも、上海ロックダウンによる工事遅延・工場操業低下の影響を受けた。
フジクラは、売上高1千809億600万円(同11.2%増)、営業利益112億8千500万円(同16.6%増)で、4社の中では唯一の増収増益となった。中国のロックダウンの影響はあったものの、データセンター、FTTx関連の需要があり、円安も追い風となった。エレクトロニクス事業部門における品種構成の良化も奏功した。通期予想に関しても、4社で唯一、上方修正を行った。
昭和電線は、売上高500億2千600万円(同10.7%増)、営業利益21億5千600万円(同16.0%減)の増収減益となった。自動車向けを含む電装・コンポーネンツ事業において、2割の営業減益となった。通信・産業用デバイス事業もサプライチェーン混乱の影響を受けた。