蓄電池特集 2050年カーボンニュートラル実現のカギ握る

メーカー各社の商品戦略

パナソニック
高い耐震性と耐荷重性
リチウムイオン蓄電システムスタンドアロンタイプ
e-block

リチウムイオン蓄電システムスタンドアロンタイプ

■リチウムイオン蓄電システムスタンドアロンタイプ
リチウムイオン蓄電システムのスタンドアロンタイプ(蓄電容量3・5kWh)は、スマートフォンやタブレットなどの電子機器にUSBケーブルを使って直接接続できる充電用USBコンセントを4ポート搭載する。停電時には、USBコンセント4ポートだけでスマートフォンを約60台充電できる。
USBコンセントに加えてACコンセント、AC端子台などさまざまな電子機器へ電力を供給し、蓄電容量3・5kWh・1500VAの高出力で停電時最低限使いたい機器に加えて電気ケトルなど消費電力の大きい機器を同時に使える。
付属の固定スタンドを設置することで、震度6強レベルの地震でも筐体が転倒しない高い耐震性を実現。震災時の蓄電システムの安全性を確保するために蓄電システム震災対策基準による圧壊試験では、蓄電システムが変形しないことも確認されている。高い耐震性と耐荷重性により機能を維持し、地震による万一の停電時にも電気を供給できる。

■e-block
可搬型バッテリー「e-block」は、バッテリーと充放電器をセパレート型にすることでバッテリーの小型・軽量化を実現し、手軽に持ち運びできる。
これまでのポータブル電源では、電池残量がなくなればコンセントのある場所まで電源装置ごと持ち運んで充電する必要があったが、e-blockは他のバッテリーを充電しておくことで交換しながら継続して電気を供給できる。
e-block単体でUSB出力、e-blockスタンド、e-blockデスクと組合せてAC100Vの機器へ給電でき、IoT化により複数のe-blockのバッテリー状態をスマートフォンで一括管理できる。
平常時はバイパス出力で充電しながら機器に接続でき、バッテリーに充電しながら接続機器にバイパス出力で給電することでバッテリーの劣化を抑制する。バイパス出力時は、突然の停電時にも自動で自立運転に切り替える。
このほど発売したe-blockステーションは、e-blockをストックすることで満充電に近い状態を自動的に維持し、取替えながら継続使用できる。

ニチコン
多彩な蓄電池容量揃う
EVパワー・ステーション(系統連系型V2Hシステム)
パワー・ムーバー ライト
トライブリッド蓄電システム「ESS-T3シリーズ」

EVパワー・ステーション(系統連系型V2Hシステム)

パワー・ムーバー ライト

トライブリッド蓄電システム「ESS-T3シリーズ」

ニチコンは、エネルギーの安定供給と環境保護の両立を目指すNECST(Nichicon Energy Control System Technology)事業において、家庭用や公共・産業用蓄電システムのほか、V2H(Vehicle to Home)システムやEV・PHV用急速充電器などのさまざまな製品を市場投入している。
太陽電池とEV・PHVの電池と蓄電池を効率よく連携させ、太陽光で発電した電気を家庭で使ったり蓄電するだけでなく、EVを走らせることも可能な「トライブリッド蓄電システム®」は、連系出力5・9kW、自立出力5・9kVA、全負荷200V出力を標準仕様とし、大容量から小容量まで多彩な蓄電池容量ラインアップを取り揃える。停電時はEV内蔵の大容量蓄電池と蓄電池の両方から給電できるため、大きな安心を得ることができる。まずはトライブリッドパワコン®のみを設置した後、将来的に蓄電池やEVに充放電できるV2Hスタンドを増設することもできる。
家庭用蓄電システムでは、4・1kWhの蓄電容量で基礎工事不要な超小型軽量のものから、業界最大容量の16・6kWhタイプ製品まで幅広く対応している。そのほか、小型軽量、低価格、設置工事不要で小規模店舗、公共施設やマンションなどにも手軽に蓄電システムが導入できるポータブル蓄電システムも販売している。
EV・PHV・FCVに接続して家庭への給電が可能な系統連系型V2Hシステム「EVパワー・ステーション®」は、系統連系によりシームレスな給電が可能。家でEV・PHVを倍速充電でき、電力の安い時間帯にEVなどに充電して活用することで電気料金を抑えられ、停電時にはEVなどの大容量電池に蓄えた電力を家庭で使用できる。さらに、自動車の荷室に収納でき、簡単に持ち運びや操作ができる外部給電器「パワー・ムーバー®」(4・5kW出力)は緊急時や野外イベントなどでEV・PHV・FCVの蓄電池からの電力供給装置として活用できる。より軽量でコンパクトな3・0kW出力「パワー・ムーバー®ライト」も発売している。
太陽光発電とリチウムイオン電池を組み合わせた公共・産業用蓄電システムは、通常時はピークカットやピークシフトなど系統電力の使用を抑制する機能をもち、非常時は系統から独立して自立運転が可能。状況に応じて多様な機能を発揮でき、全国の避難施設を中心に設置を進めている。電力変換出力10〜数百kW、蓄電池容量16〜数百kWhまで幅広く対応しており、避難施設の規模に応じて電力変換器容量と蓄電池容量が選択できる。
さらに、工場や事業所において、太陽光発電に蓄電システムとEV充放電器を直流のまま連携(DCリンク)することで電力ロスを抑え、高効率な送電ができる「DCリンクV2X付き蓄電システム」を新たに開発。電気料金が節約できるほか、太陽光で発電した電力を直接EVに充電したり、蓄電システムから夜の間にEVを充電することも可能。三相で電力供給ができるので施設内で多くの機器が停電時でも使用でき、避難所の設備として地域貢献にも期待できる。

オーデリック
蓄電池普及で社会貢献
ZERO ENERGY CONTROL

■家庭用蓄電システム「ZERO ENERGY CONTROL」

家庭用蓄電システム「ZERO ENERGY CONTROL」は、自然エネルギー(再生可能エネルギー)に不可欠な蓄電池の開発と普及させることで社会に貢献できることを目的としている。同社コネクテッドライティング対応照明器具と「ECHONET Lite」対応エアコンがあれば専用タブレットでの操作も可能となり、蓄電池と専用タブレットを併用することで蓄電池の残容量に応じて照明やエアコンを自動でコントロールできる。

1.発電・蓄電・売買電などの状況を知りたい

家庭の消費電力量をはじめ、太陽光発電や蓄電システムの稼働状況をリアルタイムで知ることができる。

2.ためた電気を上手に使いたい

アプリケーションへ照明を登録すれば蓄電池残量に合わせて自動で照明を調光し、照明以外でもエアコンなどECHONET Lite対応機器であれば専用タブレットで操作できる。

3.電気の使いすぎをなくしたい

雨の日の発電量は5〜25%程度低下すると言われているが、アプリケーションでは天気予報から事前に電気の使い過ぎを抑制するメッセージを通達する。

4.停電時の不安をなくしたい

災害時等における停電直後から電気が使えるので、防犯対策にもつながる。アプリケーションで照明を自動調光することにより、最適な電力消費を提案する。

マスプロ電工
操作性と見やすさ考慮
ポータブルバッテリー

ポータブルバッテリー

現在、バッテリー容量が561・6Whの「TLB150TW」とひと回り大型で容量が730・08Whの「TLB200TW」のポータブルバッテリー2機種を発売している。ACコンセント、USB端子、アクセサリーソケット等を搭載し、幅広い電化製品の電源に対応する。
各社が発売するポータブルバッテリーの大半は、各電源端子やスイッチなどの表示が英語表記となっているが、日本メーカーとして操作性と見やすさを考慮して表示名称を日本語表記にするとともに、視認性の高い大きな文字で表示する。
また、防災分野において有益な活用が可能で安全性、機能性、利便性に寄与する製品として防災安全協会の「防災製品等推奨品認証」も取得している。

◆3WAY電源対応
TLB150TW・TLB200TWともに、ACコンセント2個、USB端子がType-A2個、Type-A(QC3・0対応)1個、Type-C(PD対応)1個、アクセサリーソケット1個をそれぞれ搭載し、電源がないところでも液晶テレビやパソコン、扇風機などさまざまな電化製品を使える。

◆本体天面に説明書
各電源を使用するときの操作方法を本体天面にわかりやすく表記し、スマートフォンなどでも取扱説明書が見られるようQRコードを記載。初めてのユーザーにも優しい設計となっている。

◆安全設計
短絡保護回路のほか、過電流保護回路、過電圧保護回路、過放電保護回路、過充電保護回路、さらには過剰温度検出保護回路などを搭載し、安全性に配慮する。

電材流通新聞2022年10月13日号掲載