フジクラ 高性能ヒートパイプを開発 データセンタ冷却用

フジクラは、最大熱輸送量を同社従来品の約2倍に向上させたデータセンター冷却用ヒートパイプを開発した。

データセンターのサーバのCPUの高性能化が進んでいるが、CPUが能力を発揮するには高い冷却機能が必要になる。対策として液体冷却システムは有効だが、高額になるため、ヒートパイプを利用した従来の空冷システムのさらなる高性能化が求められている。

ヒートパイプは、金属のパイプの内部にウィックと呼ばれる毛細管力を有する構造体を設け、作動液を封入し、密閉した構造になっている。ヒートパイプの一端を加熱すると作動液が蒸発し、蒸気流となってもう一端の低温側へ移動する。低温側で冷却された蒸気は凝縮して液体になり、ウィックの毛細管力により加熱側に戻って再び蒸発する。このサイクルを繰り返すことで、効率よく熱が輸送される。

フジクラは今回、ヒートパイプのさらなる高性能化のために、作動液体を還流するための内部毛細管構造を改良した。これにより、外径8㎜のパイプの厚さを4㎜に抑えつつ、ヒートパイプ1本あたりの限界熱輸送量の目安を、従来の55Wから100Wへと大幅に向上することができた。

電線新聞 4301号掲載