住友電工 3Dプリンタで金属部品 三菱商事テクノスと協業

住友電工は7月27日、三菱商事テクノスと、バインダージェット式3Dプリンタを使用した、製造業向けの金型レス金属部品の量産事業立上げに向けて協業すると発表した。

従来、金属部品の3Dプリンタ工法は、レーザーパウダーベッド式が中心だ。一方、バインダージェット方式は、金属粉末をバインダー(結合剤)で固めて焼結するため、3Dプリンタの強みである自由な設計や金型レスに加え、レーザーパウダーベッド式に比べ50~100倍の生産性で造形することができ、製造コストを大幅に低減できる。また、最新のバインダージェット方式では、従来工法の鋳造に迫る材料特性を実現しつつ、従来工法では製造が難しい設計形状の高付加価値部品や大型部品(径25㎝インペラーなど)を低コストで量産可能だ。

このプロジェクトは、国内のさまざまな製造業顧客と実証を行い、量産用バインダージェット装置を国内に設置予定で、3Dプリンタによる金型レスでの金属部品の試作・開発を加速させ、高付加価値部品の量産を目指す。住友電工は、金属粉末をプレスで固め焼結する工法の製造ノウハウで、国内の3Dプリンタの活用加速と、量産部品への適用拡大に貢献する。

欧米では、3Dプリンタによる部品の量産製造が開始されているが、国内では研究開発や試作にとどまっている。同プロジェクトでは、自動車、重工業、産業機械、医療などの高付加価値部品が必要となる分野で3Dプリンタによる製造を導入し、日本の製造業のデジタル化を加速させ、競争力を高めるモノづくりのゲームチェンジャーになることを目指すという。

電線新聞 4327号掲載