古河電工は11月5日、東京大学と共同開発する実証実験衛星「ふなで」を2026年10月に打ち上げると発表した。
急速に拡大する宇宙産業市場において、特に低コストかつ短期間で開発可能な小型衛星の量産体制構築と、高度な制御技術の実証を目的とした産学連携プロジェクトが新たな局面を迎えている。
「ふなで」は、東京大学大学院工学系研究科の社会連携講座「小型・超小型衛星におけるビジネスエコシステムの創成」の成果の一つで、4Uサイズ(110×123×499㎜)の超小型衛星(CubeSat)2基で構成される。分離伸展機構により2基が結合・分離可能で、打ち上げ後に宇宙空間で分離し、それぞれのミッションを遂行する点が特徴だ。
ミッション期間は2027年10月までの1年間を予定しており、取得されるデータは次世代の宇宙ビジネス基盤の構築に活用される。
古河電工は、自社製コンポーネントの宇宙環境下での信頼性検証を重視する。搭載されるのは、熱源から放熱部へ熱を効率的に移動させる「ヒートパイプモジュール」、軽量で高強度・高導電性を両立する高耐久アルミ合金線「EFDURAL(エフジュラル)」、高速通信を可能にするSバンド送受信機、オンボードコンピュータ(OBC)などで、いずれも今後の小型衛星量産化において重要なデバイスとなる。
一方、東京大学は複数衛星が互いの位置や姿勢を精密に制御し、連携して一つの巨大システムとして機能する「フォーメーションフライト」技術の基礎実証を行う。GPS受信機やレーザセンサを用い、数百mから数㎞離れた衛星間で協調動作することで、単体衛星では困難な大型望遠鏡並みの観測精度を可能にする。この実証により、将来の衛星コンステレーション技術の実現に向けた基礎データを取得する。
両者は、古河電工の素材力と東京大学の最先端システム技術の融合により、安定的で効率的な衛星製造体制を検証する方針だ。









