Helical Fusion Helix HARUKA建設現場を公開

 日本独自の「ヘリカル方式」でフュージョンエネルギーの実用発電を目指すHelical Fusionは9月29日、最終実証装置「Helix HARUKA」の建設現場を公開した。

 公開されたのは、岐阜県土岐市の自然科学研究機構核融合科学研究所(NIFS)の敷地内にある、同社およびNIFSによる共同研究グループの専用スペースだ。このスペースでは現在、「Helix HARUKA」におけるマグネット実証フェーズ(Phase1)に向けた準備が進んでいる。Phase1は、三次元らせん構造の高温超電導(HTS)マグネットの通電試験を目的とし、コイルには高温超電導線材を16本束ねたものが使用される。報道向けに公開された作業現場では、コイル内部の線材を固める作業が行われていた。実際の発電装置(Helix KANATA)では、100本以上の高温超電導線材でコイルを製造する。

 ヘリカル型では、コイルを二重のらせん構造にしてプラズマを閉じ込める磁場を作るが、通電試験は一重のらせん構造のコイルを使用する。通電試験は2027年中の実施を見込んでいる。

 続くPhase2は統合実証フェーズだ。高温超電導マグネットだけでなく、重水素と三重水素から生み出される中性子を受け止める液体金属壁ブランケット兼ダイバータを含む主要要素技術の統合実証を実施。発電初号機「Helix KANATA」への技術的見通しの確保を目指す。立地は未定であるものの、2030年代までの実施を予定している。同社の田口昂哉代表取締役CEOは「『Helix HARUKA』は4~5mの規模を想定している。同設備での実証は世界にも類を見ないものだ」と語る。

各国で進む開発

 日本では、世界に先駆けた2030年代の発電実証の実現に向け、ヘリカル型だけでなく、トカマク型やレーザー型などの開発も進んでいる。投資も本格化しており、日本成長戦略17分野の官民投資ロードマップでは、2040年度までに官民あわせて3.1兆円以上の投資を見込んでいる。

 一方、研究開発は諸外国でも進んでおり、米国では民間企業が主体となりトカマク型やモジュラー型、レーザー型など各方式の開発が進んでいる。加えて、近年で開発が加速しているのが中国だ。政府主体となり投資が活発化。中国政府の掲げるトカマク型のほか、民間でも他方式の開発が進んでいる。欧州では英国、ドイツなどで研究が活発化している。

 このような中、田口代表は日本における研究開発について「研究・開発面では世界トップにある」と語る。さまざまな方式での開発が世界的に進んでいるものの、すべてにおいて実績がある国ばかりではないという。現在の日本のフュージョンエネルギー実現に向けたポートフォリオはバランスが良く、「インテグレーターポジションをとれる可能性も秘めている」と田口代表は語る。

 

電線新聞 4448号掲載