日本電機工業会が7月に発表した資料によると、換気扇の国内出荷実績は、2018年6月単月では、数量で前年同月比97.9%、金額で100.2%(前同)となった。今年1月から6月までの累計で見ても、数量で前年同期比99.1%、金額で101.1%(前同)と、若干ではあるが、プラス伸長となっている。
この傾向は、2016年度上期からすでに2年にわたって続いている。過去20年間、建築基準法の改正で市場が急拡大したことはあったが、ここまで長期に安定した推移は例がない。
換気扇市場と密接に関連する新設住宅着工件数は、7月末発表の国土交通省資料によると、6月が前年同月比7.1%減の8万1275戸で、3カ月ぶりの減少となった。国土交通省では、住宅着工の動向については、「引き続き、今後の動向をしっかりと注視していく必要がある」としている。
換気扇市場は、住宅着工の影響が約半年後に出るといわれているが、換気扇市場は、上下動が大きかった住宅着工件数の影響を受けていない。しかも数量よりも金額の伸びが上回っている。これは従来の換気扇市場にはなかった傾向だ。換気扇市場が安定しているのは、新築だけでなくリニューアルや新たなニーズに的確に対応し、堅実な市場開拓を行っているからだろう。また、金額ベースが上回っているのは、浴室換気乾燥暖房機、熱交換型換気扇、レンジフードファンなど、高付加価値商品の機種構成比が上がっていることも一因になっているという見方が多い。
各メーカーでは、省エネ、リニューアル、空気質の向上、省エネ、高付加価値化など、様々な切り口で市場のニーズをいち早く取り入れ、積極的な製品開発と提案を行っている。とくに、「空気質」と「健康」、さらにZEHやスマートウェルネス住宅などをキーワードにした製品開発が目立つ。
ユーザーニーズに対応しながら、様々な切り口で活路を見出している換気扇市場。さらなる需要増を目指し、新築だけでなくリニューアルも含め、「空気質の向上」などをテーマとした新たな商品提案を行う各メーカーの今後に注目したい。