配線器具特集

第5次中期計画スタート

昨年度の配線器具市場は年間出荷額が対前年度比104.7%の987億9千万円となり、年間を通して比較的堅調に推移した。そうした中での各メーカーの商品動向や、今年度が初年度となる第5次中期計画(日本配線システム工業会策定)などについて紹介する。

配線器具と密接に関連する新設住宅着工件数は、このところ堅調に推移している。7月末発表の国土交通省資料によると、6月が前年同月比7.1%減の8万1275戸で、3カ月ぶりの減少となった。国土交通省では、住宅着工の動向については、「引き続き、今後の動向をしっかりと注視していく必要がある」としている。
昨年度の配線器具市場は、年間出荷額が対前年度比104.7%の987.9億円となり、年間を通して比較的堅調に推移した。今月1日に発表された日本配線システム工業会の自主出荷統計では、点滅器87.9%、接続器87.1%、住宅用分電盤96.2%、総計87.2%(いずれも対前年同月比)となった。
同工業会では、扱い品目である太陽光発電対応住宅盤や、感震機能付住宅盤、電気自動車充電設備、高機能配線器具類の伸びを期待したいが、2018年度の出荷金額 は対前年比で、「点滅器105.8%、接続器103.7%、住宅盤99.6%、その他を含む合計で103.3%、絶対額で1020億1千万円」と推定している。
このような環境下、各メーカーでは市場ニーズに合わせた製品開発に取り組んでいる。

パナソニック エコソリューションズ社では、住宅向けでは2014年に発売したアドバンスシリーズは品揃えも充実してきており、普段は壁スイッチとしても使用でき、スイッチハンドル部分を取ればリモコンとしても使用できる「とったらリモコン」を新発売。調光タイプやON/OFFタイプの2種類を発売し、色展開もアドバンスシリーズのグレー色やベージュ色を品揃えしている。

東芝ライテックでは、「人感スイッチ天井取付形 広角検知シリーズ」を今月から発売している。共用の廊下、ホールやトイレなどに最適で、1台で広いエリアをカバーできる 広角検知タイプの人感スイッチ。照明器具では一般的なAC100V200V242Vの電圧フリー対応となっているのは、この商品のみ(2018年7月現在、同社調べ)。

アメリカン電機移動用分岐ボックス(漏電ブレーカ付)は、60Aの入力で引掛形30Aの電源を2個供給することができる、鋼板製で移設が可能な分岐用コンセントボックス。それぞれのさし込み口に30A漏電ブレーカを設置したことにより、過負荷・短絡による過電流や漏電から接続した機器類を守ることができる。さし込み口1個につき30Aまで、2個合計で60Aまで使用可能となっている。

明工社は、いままでありそうで無かった「全てを黒で統一したOAタップ」を発売。ユーザーの意見をもとに開発したというこれら製品の特徴は、OAタップ本体・コンセントの駒・コード・プラグにいたるまですべてが黒いことだ。製品名「横形OA用抜け止め接地タップ 4コ口 パイロットランプ・マグネット付」で、VCTF 3m接地プラグ付である。

神保電器は、省エネ志向によるLED照明の一般家庭への急速な普及をうけて、LED照明対応調光器を照明器具との親和性を高めリニューアルした。位相制御方式・逆位相制御方式・PWM制御方式の3種類の制御方式のラインアップを揃えることにより「マルチベンダー、マルチタスク」をコンセプトに、スイッチ・コンセントのJIS規格に合わせた大角形、ワイドハンドル形および独自デザインコンセプトのNK SERIEタイプに展開する。

一方、日本配線システム工業会では、第5次中期計画の初年度となる今年度、同計画の重点テーマを中心に活動していく。
特に、「新規分野開拓活動」を積極的に推進していく。そのため、「配線システム」の名にふさわしい新たな事業分野拡大を指向する。長い歴史のある配線器具・住宅盤の強みを活かし、システム思考することで、ユーザーへ新たな満足を届ける分野を捜すため、専門委員会を横断して技術委員会などの傘下に設立したWGを中心に、日配工でできる提案を検討・推進する。
最重点課題としている第5次中期計画5大活動テーマは次の通り。

①配線システムからの火災事故を撲滅する「安全品質の追及活動」
②交換リニューアル市場を構築する「安全・点検リニューアル活動」
③低炭素社会を配線システムで実現する「環境対応推進活動」
④新しい配線システムの標準化で安心を造りだす「標準化推進活動」
⑤新しい分野の市場を開拓する「新規分野開拓活動」

そのほか、重点項目として①配線システム及び配線器具に関する生産、流通等の調査及び研究=出荷統計調査(接地極付きコンセント含む)、需要動向・流通動向の早期集計②配線システム及び配線器具に関する技術の調査及び研究=技術動向、技術課題等に関する調査及び研究㈫配線システム及び配線器具に関する情報の収集及び提供=市場動向、環境問題等に関する情報収集及び提供③配線システム及び配線器具に関する普及及び啓発=日配工の提案する製品の普及と安全点検など使用者への啓発㈭配線システム及び配線器具に関する規格の立案及び推進=各種規格作成委員会活動の推進と取り纏め㈮配線システム及び配線器具に関する内外関係機関等との交流及び協力=国内関係機関及び海外関係機関との協調体制構築㈯前各号に掲げるもののほか本会の目的を達成するために必要な事業——を推進していく。

電材流通新聞2018年8月9日号掲載