環境ビジネス 好調な業況続く 長期的にはやや停滞

温暖化対策分野が牽引 先行きやや伸び悩み予想も

自社の環境ビジネスに関する業況判断指数(DI=「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値)は2018年6月時点でプラス25と、昨年12月の前回調査(プラス21)より上昇し、好況を維持していることが環境省の環境経済観測調査(環境短観)で分かった。「半年先」でも好調を見込むものの、「10年先」はやや伸び悩む見通しとなっている。今後実施したいと考えている環境ビジネスについては全産業で「再生可能エネルギー」が最上位にあげられた。

調査は10年12月から半年ごとに実施しているもの。今回の調査結果(有効回答4699社)によると、環境ビジネスを実施している企業の現在(6月)の業況DIは、プラス25と、環境ビジネスの好調さがうかがえる。
半年先のDIはプラス26と引き続き好況を見込むが、10年先のDIはプラス21とやや伸び悩みを予測している。業況判断の要因としては「取引先(顧客)からの受注が見込まれるため」「産業界全体の景気が良いため」「国内市場の発展が見込まれるため」FIT(固定価格買取制度)があるため」「自社の技術・人材が活かせるため」と回答した企業が多い。
環境ビジネスの4分野(環境汚染防止、地球温暖化対策、廃棄物処理・資源有効利用、自然環境保全)の中では、地球温暖化対策分野(業況DIプラス31)が全体をけん引した。環境汚染防止分野(同20)、廃棄物処理・資源有効利用分野(同18)が好調だが、「自然環境分野」(マスナス1)は低調である。

今後実施したい事業省エネ建築が上位

「わが国で発展していると考える環境ビジネス」の問いには、現在と半年先で「省エネルギー自動車」(現在26%、半年先29%)をあげる回答が最も多かった。しかし、10年先には「再生可能エネルギー」(25%)がトップとなり、「省エネルギー自動車」(20%)は2位になると予測している。
現在、2位は「大気汚染防止装置・施設」(14%)だが、半年先では「再生可能エネルギー」(14%)、10年先には「省エネルギー自動車」(20%)と入れ替わる。現在3位は「再生可能エネルギー」(12%)だが、半年先には大気汚染防止用装置・施設(8%)が3位に浮上するとみている。
「現在実施している環境ビジネス」については、全産業では「再生可能エネルギー」(25%)がトップ、次いで「高効率給湯器」(11%)、「リサイクル素材」(9%)の順。小差で「産業廃棄物処理」(9%)、「太陽光発電システムの据付・メンテナンスなど)」(8%)が続く。
製造業、非製造業別にみると、両業種とも「再生可能エネルギー」(製造業17%・非製造業30%)が1位で、次いで、製造業では「リサイクル素材」(14%)、非製造業では「高効率給湯器」(17%)となっている。
一方、今後新たな環境ビジネスを実施したいと回答した企業の割合は「環境ビジネス実施企業」では28%であるが、「環境ビジネス未実施企業」では5%と関心の度合いに大きな開きがみられる。全体では「実施したい」が10%と前回(9%)同様に低い数値にとどまり、「実施したい環境ビジネスがない」(50%)も前回同様、半数を占め、「わからない」は同じく約4割あった。
また、今後実施したい環境ビジネスは全産業と非製造業で「再生可能エネルギー」が最多で、全産業では21%、非製造業では26%と4分の1を占めた。製造業のトップは「省エネルギー自動車」(14%)。全産業の2位は「その他の地球温暖化対策ビジネス」(13%)で、以下「省エネルギーコンサルティング」(11%)、「省エネルギー自動車」(9%)、「省エネルギー建築」(9%)となっている。

商経管材新聞2018年10月3日号掲載