【東芝ライテック、KDD、Think Lab】 集中度の可視化と最適化された空間の創出『集中度と照明が連動する実証実験』を開始

東芝ライテック、KDDI、Think Labは、未来のオフィス空間の創出を目的とし、1月6日よりバイタルデータと空間データに基づき、個人の集中度に応じた照明制御を行う共同実証実験を開始した。

●実証実験の背景

昨今の働き方改革に代表される多様な働き方のなかで、新たな手法による生産性の向上が
求められている。
この実証実験では先端テクノロジーを活用することで個人の集中度を可視化し、最適化された空間の創出を目指している。

●予備実験の内容と結果

実証実験に向けた予備実験では、室内を均一に照らす照明環境と、一般に集中度を高めるとされる局所的な照明環境を構築。被験者が写真1の眼鏡型ウエアラブルデバイス「JINSMEME※ 1」を着用してパソコンによる通常の業務を行い、集中度への影響を調査した(2019年7月29 日~11 月29 日)。この実験では午前、午後に2回、1時間ずつ全般照明と局所照明の条件ごとに2日(計4日間)のデータを収集。その結果、集中できる照明環境は個人や作業形態によって異なるため、個人の集中度に応じた照明制御が必要であることが判明した。

●実証実験の内容

予備実験を踏まえ、実証実験では「JINS MEME」で計測する「瞬き」「視線移動」「姿勢」から得られる集中度などのバイタルデータと、オフィスの「温湿度」「二酸化炭素」などの空間データを照明器具に接続したIoTゲートウェイで収集、クラウドでデータを解析し、オフィ
ス照明の光色や明るさを集中度に応じて個別に制御する(第1図、写真2)。

●今後の取り組み

3社は実証実験で得られた知 見を生かし、個人の集中に最適な集中照明制御アルゴリズムを機械学習させ、汎用性を高めることで「人を中心に考えた照明」に基づいたオフィス空間の実現に向け取り組んでいくとのことだ。

※ 1 :JINS MEMEは(株)ジンズが開発した眼鏡型ウエアラブルデバイス。3点式眼電位センサ、加速度センサ、ジャイロセンサによって「瞬き」「視線移動」「姿勢」をリアルタイムに検知し、集中度などの人体データを計測。

オーム社「電気と工事」2020年2月号掲載