2020年予測 5.9兆円(前年比9.0%減)
2021年予測6.2兆円(前年比4.8%増)
矢野経済研究所はこのほど、国内住宅リフォーム市場を調査し、現況、参入企業の動向および将来展望を明らかにした。
市場概況
2019年の住宅リフォーム市場規模は前年比5.1%増の6兆5351億円と推計した。分野別にみると、「増改築に関わる費用」(10㎡超+10㎡以下増改築工事)が前年比4.6%減、「設備修繕・維持管理費」が同6・6%増、「家具・インテリア」が同3.5%増となった。
近年の市場動向は、前回の消費税増税(2014年)前の駆け込み需要によって2013年に市場規模が6.9兆円に達して以降、2018年まで総じて減少トレンドで推移していた。2019年は10月施行の消費税率引上げを見据えた駆け込み需要が影響し、市場拡大に寄与する結果となった。
競争環境の激化や新型コロナウイルス感染拡大の影響により将来的に事業者の淘汰が進行・加速
住宅リフォーム市場は参入障壁の低さから、異業種からの参入を含め、新規参入事業者が後を絶たず、事業者間における競争環境は厳しさを増している。
こうしたなか、自社の独自性や専門性のある得意分野を生かし、一般ユーザー層に適切に訴求するなど、他社との差別化を図れる事業者とそうでない事業者において明暗が分かれるものと考える。加えて、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済活動が停滞するなか、概してリフォーム需要も減退傾向が見込まれることから事業者の淘汰は加速するものとみる。
将来展望
2020年の住宅リフォーム市場規模は5.9兆円(前年比9.0%減)、2021年は6.2兆円(同4.8%増)を予測する。
今回調査における市場規模予測は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景に4〜5月にかけての緊急事態宣言の発令による営業活動の制限や自粛、消費者心理の冷え込みや所得環境の悪化といったマイナスの影響を加味して算出している。
一方、コロナ禍における市場への影響はマイナスだけではないものとみる。テレワークが推奨されるなか、職住融合型リフォームや郊外の中古住宅需要の増加といった、新しい生活様式(ニューノーマル)に対する需要が見込まれるなど、プラスの影響も期待される。