インターホン特集  2019年度も好調維持 気になるコロナの影響


インターホン市場は、2018年度に念願の年間出荷額1千億円突破を達成した。2019年度も引き続き1千億円を突破し着実に成長を続けてものとみられたが、今年度に入り新型コロナウイルス感染拡大が大きな影を落としつつある。こうしたなか、インターホン工業会では、4月28日「インターホンの日」懸賞クイズキャンペーンを実施するなど、定期的な点検と適切な時期の更新を呼びかけている。


新築住宅着工戸数は、2014年度に90万戸を割ったが、翌15年度以降は90万戸台を維持していた。しかしながら、19年度は7.3%減の88万3687戸と再度90万戸を割る結果となった。各種予測では2030年度には60万戸台までに落ち込むとの見通しが大半を占めており、再度の上昇が見込めない情勢となりつつある。

新築住宅着工戸数のうち、分譲住宅の着工数は前年度比2.8%減の25万9732戸で、うちマンションが同6.7%減の11万1615戸、一戸建が同0.9%増の14万6154戸となった。
国土交通省が調査した「マンションの供給戸数」をみると、2007年の22万7千戸をピークに2011年は8万2千戸まで低下。その後、2014年度に12万1千戸まで持ち直したあとは10万戸台の横ばい状態が続いたが、2019年度は11万戸まで戻している。
インターホン業界に目を移すと、年間出荷額は2018年度に念願の1千億円突破を達成。2019年度の出荷額も前年度比2.9%増の1049億1400万円と2年連続で1千億円を突破した。着工戸数減少の影響も懸念されたが、前年度よりも30億円上積みする結果となった。
用途別で見ると、住宅用の総額は前年度比2.6%増の902億4900万円で、そのうち一般用ドアホンは同1.9%減の83億700万円、テレビ付は同3・1%増の819億4200万円となった。業務用は同4.8%増の146億6500万円、輸出は同2.4%減の80億6500万円となった。
テレビ付の売上げが4年連続で700億円台に到達したことで定着しているものと捉えて差し支えないが、今年度に入り新型コロナウイルス感染拡大の影響で軒並み数値を落としている。いずれは回復するものとは思われるが、それがどのタイミングになるかは見通しがつかない。
ここ数年、各メーカーはリニューアルを重視した製品を相次いで発売しているが、こうした状況においてはリニューアルをアプローチするのも容易ではない。各社とも難局を打開すべく、HEMSやMEMSなどのエネルギー管理システムやスマートスピーカーとの連携強化などの特色を打ち出すことで需要喚起をはかっている。
また、病院や介護施設向けナースコール製品についても、ソフトウェアの安全性の向上とともに関係官庁などとの連携強化にさらに重点が置かれる。新型コロナウイルス感染拡大によって医療・福祉の現場が厳しい環境におかれているなかで、インターホンが現場で果たす役割もけっして小さくはないものと考える。

防犯中心に接続機器検討

インターホン工業会はこのほど、4月28日「インターホンの日」懸賞クイズキャンペーンの実施報告をまとめた。

キャンペーンでは、回答者に対してインターホンに関するアンケートも実施した。
□回答内容からの分析
◇応募総数:1万2053人(前年比118%)
◇正解者数:1万1785人(前年比118%)
◇応募地域

全国47都道府県より応募があり人口分布と相関があった。上位は東京10.6%、大阪8.3%、神奈川7.0%、愛知6.6%、埼玉5.3%

 ◇応募年齢
30代25%、40代26%、50代19%、60代12%

 ◇住宅形態
戸建て55%、賃貸住宅32%、分譲マンション12%
戸建て、賃貸住宅で約9割を占める。

 ◇インターホン使用タイプ
音声タイプ30%、映像タイプ27%、録画タイプ33%
インターホン使用率は90%。昨年アンケートよりは音声タイプが減り、映像付き(録画タイプ含む)は全体の60%。そのうち録画タイプは半数以上を占める。

 ◇使用年数
5年以内30%、5〜10年25%、10〜20年17%、20年以上7%
10年以内の使用が過半数を超え、10年以上の使用は前年と同じく24%。

 ◇音声タイプ住宅形態別割合
戸建住宅53%、賃貸住宅39%で多くを占める。
戸建住宅では使用期間が10年以上のものは55%と過半数を超えている。

 ◇インターホンにつなげたいもの(複数回答可)
防犯に役立つ機器(カメラ・センサー)への関心が圧倒的に高い。
また、スマートフォン、宅配ボックスへの要望を考慮すると不在時の自宅との双方向でのやりとり(安心・安全)が求められており、すでに商品化されている内容も多い。

◇まとめ
音声タイプは戸建・賃貸住宅で使用されているケースが多く、推奨更新期間を超えているケースが多いことがあらためて確認された。
今後は、戸建住居者や賃貸住宅経営者へ向けて安全安心の観点でカメラ付き玄関子機や録画機能付きインターホンの訴求と防犯を中心とした接続可能機器の可能性を検討する。また、リニューアルについては、定期的な点検と適切な時期の更新を引き続き訴求する。

6月度インターホン用途別出荷実績統計(インターホン工業会)

[6月]
出荷総計は前年同月比18.5%減の69億1900万円で、うち国内総計が同14.1%減の66億6600万円、輸出総計が同65.4%減の2億5300万円となった。

住宅用は前年同月比17.5%減の60億5600万円で、うち国内が同14.4%減の59億2500万円、輸出が同68.6%減の1億3100万円となった。

業務用は前年同月比25.1%減の8億6300万円で、うち国内が同11.5%減の7億4100万円、輸出が同6.3%減の1億2200万円となった。

住宅用を種類別でみると、一般用は前年同月比29.0%減の4億7千万円で、うち国内が同27.4%減の4億6千万円、輸出が同64.3%減の1千万円。テレビ付きは同16.3%減の55億8600万円で、うち国内が同13.1%減の54億6500万円、輸出が同68・9%減の1億2100万円となった。

[第1四半期]
出荷総計は前年同期比12・3%減の199億8300万円、そのうち国内総計が同8・9%減の187億2500万円、輸出総計が同43・4%減の12億5800万円となった。
住宅用は前年同月比12・6%減の173億円で、そのうち国内が同10・3%減の165億3500万円、輸出が同44・1%減の7億6500万円となった。
業務用は前年同月比9・8%減の26億8300万円で、国内が同3・3%増の21億9千万円、輸出が同42・3%減の4億9300万円となった。
住宅用を種類別でみると、一般用は前年同月比27・5%減の13億4200万円で、うち国内が同26・7%減の12億7900万円、輸出が同39・4%減の6300万円。テレビ付きは同11・1%減の159億5800万円で、うち国内が同8・6%減の152億5600万円、輸出が同44・5%減の7億200万円となった。

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