(株)竹中工務店 BIMを用いたドローンの「屋内外自律飛行システム」の実証試験

飛行精度確保の有効性を確認

(株)竹中工務店、(株)カナモト、(株)アクティオは、ドローンの屋内での自律飛行精度確保の有効性を確認するため、BIMを用いたドローン(写真1)の「屋内外自律飛行システム」の実証試験を実際の建設現場で実施(写真2・3)。

写真1 ドローン本体(ACSL Mini)

写真2 屋内飛行状況(2階から1階)

写真3 屋外から屋内への飛行状況

●背景
ドローンは、屋外では通常、GPS信号を受信して自律飛行する。
一方、屋内(非GPS環境)で自律飛行させるには、SLAMという「地図生成技術」と「自己位置推定」が必要となる。そのため、一般にカメラを用いてARマーカーなどの目印を認識し、飛行用地図を生成、自己位置を推定しながら飛行する。
しかし、建設現場では日々環境が変化するため、目印のタイムリーな設置や飛行用地図生成が難しく、ドローンの屋内自律飛行の障害となっていた。

●実証試験の概要
同試験では、①BIMを用いた離陸、経路、着陸地点の飛行ルート設定(写真4)、②手動操作による事前の地図生成を行わず、BIMのみで飛行経路および閲覧対象を設定する方法でドローンの屋内自律飛行を建設現場で行った。

写真4 BIM 上での飛行経路設定

●システムの効果
同システムを活用することで、施工管理担当者が行う安全巡回や現地確認を事務所内自席や遠隔地からも行うことが容易となり、作業所への移動時間、現地滞在時間を削減できる。
また、自律飛行により現場の写真を自動撮影したり、屋内外のシームレスな飛行は竣工後の建物における巡回監視への応用が可能となる。

●今後の展望
同社は今後、さらなる利便性の向上を実現させるとともに、開発中の建設ロボットプラットフォームを使い、ドローンとロボットの連携も進めていく。

オーム社「電気と工事」2021年10月号掲載