東京電力ホールディングス、NTT 社会的要請に資する共同出資会社を設立

業界の垣根を越えたイノベーションで連携

東京電力ホールディングスとNTTは、4月18日、社会的課題の解決と、市場・社会の変化に応じた新ビジネス創造・事業展開を目的とした業務提携に合意し、推進する共同出資会社「TNクロス株式会社」を設立する。同社は2018年7月に事業開始する予定。
●背景
電力事業分野では、脱炭素化、電力自由化、電源分散化、デジタル化、人口減少などといった社会構造の変化を迎えており、業界の垣根を越えたイノベーションや連携による、新たな価値の創造が期待されるUtility3.0(電力システム改革後の将来のエネルギーインフラの世界)の世界が間近に迫りつつある。
こうした変化に対応するため、両社が保有するインフラやノウハウをより生かす目的である。
例えば、東京電力グループが保有する電力制御技術とNTTグループが保有するICTなどの連携により、新たなビジネスや協業事業の創出を目ざして業務提携していくことに合意。それらを促進するため新会社を設立する。
●取組内容
新会社では、省エネ・脱炭素化推進、災害に強いエネルギー供給などの社会的要請に資する協業事業の創出を目ざし、以下の取組を進める。
① 脱炭素化・BCPを指向したエネルギービジネスの創出
NTTグループが保有する通信ビル蓄電池や、東電グループが保有する送配電設備などの両社インフラ・ノウハウの有効活用およびICT活用による分散電源リソースの高度なマネジメント等により、再生可能エネルギーの普及促進に繋がる事業や非常時の外部電力供給事業などを企画、実証していく。
② 直流をベースとした新たな高効率エネルギーインフラの実現
再生可能エネルギーや直流向け設備に対応する直流送配電インフラの検討およびNTT通信ビルを核とした地域直流グリッドの形成など、直流をベースにした効率性の高い新たなエネルギーサービスを企画、実証する。
③ インフラ企業同士の協力による新たな基盤サービスの創生
インフラ企業として、両社が有する電力および通信のアセットやノウハウを連携することで、市場・社会ニーズの変化に適応し、また、さまざまな企業・自治体との連携による新ビジネスを実現していく、新たな基盤サービスの創生を企画、実証していく(第1図)。
●新共同出資会社概要
会社名 :TNクロス株式会社
本社所在地 :東京都
資本金 :1億円
株主構成 :東京電力ホールディングス株式会社50 % 日本電信電話株式会社50 %
スケジュール :
2018 年7月2日設立(予定)

第1図 両社協業のイメージ

オーム社「電気と工事」2018年6月号掲載