電柱は三本柱?
普段の生活で、ほとんど意識することがない電柱。いや、電信柱。あれ、どっちでしたか?
「どっちも同じでしょ」って? ふふ、引っかかりましたね。電柱と電信柱は違うものなのです。
電柱は、正式には「電力柱」というそうで、住宅や事業所などに電気を送るための配線を支えている柱のこと。一方の電信柱は、電話およびインターネットやケーブルテレビなど、通信用の配線を支えている柱のこと。つまり、電柱(電力柱)の所有者は電力会社で、電信柱の所有者は通信会社です。そして、電力用と通信用を兼ねた「共用柱」というのもあります。
では、電信柱や共用柱は電柱と呼ばないのかというと、そうでもなく、電柱には電力柱・電信柱・共用柱の3種類があるという捉え方でよさそうです。
材質の種類としては「コンクリート柱」や「木柱」の他、資材を運び込むのが困難な場所に設置する「組立鋼管柱」などもあります。また、高さも一律ではなく、8mから16mくらいまで数種類あります。
日本最古の電柱は四角柱?
大正12(1923)年に建てられた日本最古のコンクリート電柱が北海道函館市に現存しています。この電柱、よく見ると円柱ではなく四角柱。正確にいうと四角錐で、先端にいくほど細くなっています。100年たった今も現役で使われているそうです。
電柱と桜の木は同じ数?
私たちが電柱を普段意識することがないのは、電気工事士の方々がきちんと保全してくれているからであって、地震や台風などで電柱が倒れたりすると、私たちはたちまち困ってしまいます。
ジャンボびっくりQ~!
さて、ここで問題です! 私たちの暮らしや社会を支えている電柱は日本全国に何本あるでしょう?
①約18万本 ②約500万本 ③約3600万本
海中に電柱?
海に立つ電柱もあります。九州北西部の有明海にある「長部田海床路(ながべたかいしょうろ)」は、干潮のときにだけ現れる道。満潮になると道が水没し、海上に数十本の電柱が立ち並びます。実際に海底から電柱が延びているわけではありませんが、幻想的な海景として人気の観光スポットとなっています。
発電所のない離島などの場合は、本土から島へ、島から島へ、電柱ではなく巨大な鉄塔で電線を渡すか、橋梁で結ばれていればそれを利用して電力ケーブルを引くか、あるいは海底ケーブルを使って電気を運びます。
電柱には設備が満載!
電柱を見上げると、何だかポリバケツみたいな形の箱が気になります。他にもいろいろと複雑そうです。
電力柱の場合、6600ボルトの電気が通る「高圧配電線」、100ボルトと200ボルトの電気が通る「低圧配電線」、高圧の電気を低圧に変える「柱上変圧器」、電柱から住宅や事業所に電気を送る「引込線」、電線から電柱に電気が流れないようにする「碍子(がいし)」、雷などで異常な電流が流れたときに遮断する「高圧カットアウト」、避雷針の役割を持つ「架空地線」などなど、電柱には実に多くの設備機器が取り付けられています。
ちなみに、バケツみたいな形の箱は「柱上変圧器」。中には鉄心とコイルが入っていて、絶縁のために油で満たされています。重さはなんと数百kgもあるそうです。