福岡県北九州市若松区沖の洋上風力発電所「北九州響灘洋上ウインドファーム」が、3月2日に運転を開始した。発電能力は22万kW(220MW)で、風力発電所としては国内最大規模となる。1月には長崎県五島市沖で、発電力能16.8MWの「五島洋上ウィンドファーム」が商用運転を開始するなど、年明けから大規模な洋上風力発電の運転開始が続いている。洋上も含めた風力発電の現状や課題などについて追っていく。
福岡県北九州市若松区沖に位置する洋上風力発電所「北九州響灘洋上ウインドファーム」が、2日に運転を開始した。同発電所は、J-POWERや九州電力子会社の九電みらいエナジーら5社が出資する、ひびきウインドエナジーが23年3月から建設を進めていたもの。出力9.6MWの風車25基を備えているジャケット式(着床式)の洋上風力発電所で、発電能力は22万kW(220MW)と風力発電所としては国内最大だ。年間の発電電力量は約5億kWhで、20年間にわたり九州電力送配電に売電を行っていく。
年明けから大規模な洋上風力発電所の運転開始が続いている。1月5日には、長崎県五島市沖の「五島洋上ウィンドファーム」が商用運転を開始した。関西電力や中部電力ら6社が出資する五島フローティングウィンドファームが建設したもので、風車を複数機設置する商用浮体式洋上風力発電所としては国内初。出力2.1MWの風車8基を備えており、発電能力は16.8MWだ。発電した電力については、エネルギー地産地消のため、地元の小売電気事業者へ優先的に供給する。
25年の風力発電 累計導入量10・2%増
洋上風力発電も含めた風力発電の導入量は、近年増加傾向にある。日本風力発電協会の発表によると、2025年12月末時点の累積導入量は6434.2MW(風車数2866基)で、新規導入量は全国24サイト625MW(同171基)、撤去した6サイト29.5MW(同23基)を差し引いた正味導入量は、18サイト595.5MW(同148基)となった。2024年末と比較すると累計導入量は10.2%増、風車数は5.4%増となっている。
都道府県別にみると、25年に最も導入量が多かったのは福島県で274MW、次いで北海道で143MW、秋田県で115MWだ。25年は洋上風力の新規運転開始はなかったものの、福島県で国内最大となる47.2MWの発電所が運転を開始している。
累計導入量を都道府県別にみると、最も多いのが北海道で1281MW、次いで青森県で962MW、秋田県で913MW、福島県で544MW、岩手県で267MWだ。累計導入量は北海道および東北地方の割合が大きい。
出力制御率 東北・九州が顕著
経済産業省が公表した2026年度の再エネ出力制御の短期見通しでは、各地域の出力制御率について、北海道が1.2%(制御電力量0.8億kWh)、東北が4.0%(同7.5億kWh)、九州が6.9%(同12.2億kWh)と算定された。
余剰電力解消には電力広域的運営推進機関が定めた優先需給ルールがある。需要が少ない時期などは、まず火力発電の出力抑制や揚水・蓄電池の活用が行われ、次に連系線を活用した送電、そしてバイオマス発電の出力制御が実施され、それでも余剰電力を解消できない場合に限り風力発電や太陽光発電の出力制御が実施される。出力制御に対応する観点からも、地域間連系線および地内送電系統の整備が課題だ。
地域間連系線は、整備計画の策定が進んでおり、着工が進んでいる計画も散見される。しかし、東地域(北海道~東北~東京間)は、大規模な海底HVDCケーブルの敷設となるため、東京電力パワーグリッドや北海道電力ネットワークなどの事業者らが提出する海底送電線の実施案(事業計画)の提出期限が約1年延長されている。
電線需要への影響 北海道への納入も
連系線需要を見込み、投資計画を発表する電線メーカーがある一方で、地内送電系統は需要が顕著な地域は現段階ではみられておらず、整備はこれからとの声があり、現状の生産体制で対応する傾向がある。ただ、洋上風力発電向けは出荷にも影響し、五島洋上ウィンドファームの建設工事では、住友電工が22kV交流海底送電ケーブルの設計・製造・施工を担当した。ある電線メーカーからは「33kV品のすべてが風力発電向けではなく、納入状況に大きな変化はないものの、北海道向けの納入があった」という声も寄せられている。









