大成建設(株) プロジェクションマッピングによる墨出しを開発

大成建設( 株)は、建設現場でプロジェクションマッピングを利用して墨出しを行う「T-iDigital MARKING」を開発した。

●従来の課題

墨出しは、建築仕上工事や設備工事ごとに複数の専門家や作業員が事前に測量したうえで、各工事に必要な基準線や設備器具の取り付け位置などを計測し、マーキングしていた。

しかし、測量ミスや設計変更後の情報が反映されていない図面の使用などの人為的ミスが発生することもあった。
また、工事ごとに墨出しを行うため手待ち時間が発生するなど、作業の正確さや効率に課題があった。

●T-iDigital MARKINGの概要

同社は、プロジェクターを利用して建物の床面に原寸大で投影した図面を元に、作業員が直接マーキングすることで墨出しを正確かつ迅速に行うことができる技術を開発した(写真1)。
同技術により、これまで重複していた墨出し場所の事前測量作業が一度に実施できる。また、墨出しに必要な総合的な情報を投影することで、専門知識の有無に関わらず最小限の作業員数により各種作業を同時に行うことが可能となる。

●同技術のポイント

同技術は、以下の特徴がある。

①ゆがみが発生しない補正技術
プロジェクタで投影された映像に生じる歪みを高精度に補正する「映像補正技術」を開発し、床面に正確な原寸大図面の投影
が可能となった。2m離れたプロジェクタから投影した場合、±2mm以内の高精度な映像を確保できる。

②自動姿勢制御装置
プロジェクタが少しでも傾くと、投影される図面の映像が大きく歪む。そこで、プロジェクタの角度を傾斜角0.001 度の精度で制御する「自動姿勢制御装置」を開発し、歪みのない原寸大図面の投影が可能となった(写真2)。

●今後の展望

今後、同社は、土木・建築分野のすべての建設工事において、同技術を積極的に導入していくとのこと。

写真1 プロジェクションマッピングによる 施工図面の投影状況

写真2 自動姿勢制御装置に固定したプロジェクタ

オーム社「電気と工事」2022年3月号掲載