欧州電線視察レポート③ ビトレスアルバート  高炭素鋼ワイヤー用製品などに注力 ロール調整データの計算・可視化も実現

 ドイツの矯正ローラー・ガイドロールの専門メーカー・ビトレスアルバート社のマルクス・パイチ部長が本紙のインタビューに応じた。同社は4月に開催されたワイヤー・デュッセルドルフで50もの新製品を発表した。特に高炭素鋼ワイヤー用「MP 7-153/4 PO」とEV用フラットブスバー用「BBS7-60PO-04型矯正機」に注力しているという。注力製品の特長や同社の成り立ちを聞いた。

 ―御社の成り立ちは?

 「当社は、Albert社とWitels社を起源とする会社だ。Albert社は1898年、Witels社は1946年にそれぞれ創業した。1996年8月には、Witels-Albert(ビトレスアルバート)が米国に販売拠点を設立した。

 エンドレス素材の矯正、搬送、ガイドに特化しており、これらの工程に対応する機械を製造している。最適な生産体制と管理(KANBAN方式)により、全製品を迅速に供給できる体制を整えている。

 また、研究開発への継続的な投資で、革新的な製品と顧客メリットを生み出している」

 ―主な生産拠点と出荷先は?

 「本社はベルリンにあり、世界各国への配送に対応している。輸出比率は約65%を占めており、世界20カ所以上の代理店によるサポートを受けている」

 ―御社のビジネスを取り巻く直近の市場動向は?

 「ワイヤー・ケーブル業界は、従来から緩やかに成長している。直近で堅調な市場は、電気自動車をはじめとするeモビリティ関連の市場や、データセンター(DC)の新設に伴うエネルギー関連の市場で、需要が大幅に増加している。電線メーカーだけでなく、チューブやホース、ロープ、スチールワイヤ業界も堅調に推移している」

4月の展示会で50の新製品を出展

 ―出展した50の新製品のうち特にPRしたいものは?

 「従来製品と同様、計算やシミュレーション、設計ツールを用いて、世界に類を見ない新しい矯正ユニットを開発した。

MP7-15 4/3 PO

 まず、スプリング材に使用される高炭素鋼ワイヤー用の『MP 7-15 3/4 PO』だ。加工材料の弾塑性変形には、2つのローラー列に交互にオフセット配置された7つの矯正ローラーが使用される。同モデルでは、操作側の3ローラー列が2つのヘッドバーに割り当てられている。矯正ローラーを規定条件に基づいて再現性高く調整するために、機械式位置インジケーター『PO』が装備されている。4ローラー列は矯正ユニットの設置位置に応じて、加工材料の後方または下方に配置されている。なお、『MP 7-15 4/3 PO』モデルでは、矯正プロセスに操作側の4ローラー列を使用する。

BBS7-60PO-04型矯正機

 また、EV用フラットブスバー用の『BBS7-60PO-04型矯正機』にも注力している。同機械は、平面矯正に最適な設計だ。この革新的な設計では、個別に調整できる上下の円筒形矯正ローラーに同一のチョックを採用。下部にある4つのチョックは、それぞれ2つの連結要素を介して、雌ネジが付いた上部のチョックに接続されている。これらの調整が可能な部品は六角穴が付いたスピンドルで位置調整がされている。上部にある3つのチョックは、接続要素を必要とせず、それぞれにローラーが直接取り付けられている。すべてのローラーでは、機械式位置インジケーター『PO』を使用し、規定条件に基づいて再現性の高い位置決めが可能だ。スピンドル機構のすべての部品の設計は、矯正ローラー設定時に高い繰り返し精度が得られるよう最適化されている。また、総重量を可能な限り抑えるため、部品の大部分は耐摩耗性アルミニウム合金で作られている。

 全焼き入れローラーである点や、すべての矯正ローラーにおいて微細なねじ位置決めに対応している点、矯正ローラーの保守が容易な点および迅速に交換ができる点は、EV用ブスバーメーカーや現場オペレーターから高く評価されている」

 ―競合他社と比較した際の強みは?

 「品質、柔軟で優れた設計、そして『How2Straight』というウェブサービスだ。同サービスは、円形断面の真直鋼線を製造する際に必要なロール位置情報を収録したユニットライブラリを活用して、指定された加工材料の特性(線径、降伏点、弾性係数)およびそれぞれの矯正ユニットのタイプを考慮し、ロール調整データを計算・可視化する。ユーザーインターフェースには、必要な入力フィールドやボタンが用意されており、加工材料の特性を容易に設定・検索することができる」

 ―安定供給のための取り組みは?

 「最適化されたデジタル主導の生産工程の構築と、熟練した製造現場作業者の確保および新規作業者への教育・技術継承の推進に取り組んでいる。また、長年にわたり築いてきた供給業者との信頼関係の維持・継続にも努めている」

 ―ワイヤー・デュッセルドルフの反響は?

 「Come&Connectが効果を発揮し、多くの来場者と質の高い商談ができた。特に、新製品については多くの来場者から興味を持ってもらえた」

電線新聞 4434号掲載