欧州電線視察レポート⑥ SIKORA社 ブレーメン工場で全製品生産 X線測定器は低価格版も

本紙・電線新聞は「Wire2026欧州電線・光事情視察団」を4月7~15日の日程で派遣した。ドイツ・デュッセルドルフで開催された「wire&Tube 2026」(主催:メッセ・デュッセルドルフ)を軸に、欧州2カ国のケーブル製造機械メーカーを視察した。ブレーメンのSIKORA社では、製品紹介のプレゼンテーションの後、工場内を見学した。今回はその内容をレポートする。

 1973年創業のSIKORA社は、電線・ケーブル向けの非接触測定機器やX線技術を活用した機器を開発・製造するメーカーだ。2025年6月からはスイスのMAAGグループに参画し、創業者であるハラルド・シコラ氏はSIKORA社の顧問に就任している。

 同社の2025年の売上は1億3500万ドル。電線・ケーブル向け装置の割合は70%を占めており、同社の中では最も規模の大きい事業となる。世界各国に13の子会社を展開しているのに加えて、30の代理店を展開しており、同社のユーザーは2000以上にものぼる。製品を単体で供給するだけでなく、製造工程に必要な設備をオールパッケージで提供している。

高精度の測定を実現

 同社はレーザーの外径測定器で創業しており、LASERシリーズは毎年3000台ほど出荷している。集光性・指向性の高いレーザーを採用しているため位置ズレにも強く、測定範囲内であればどの位置でも計測が可能だ。

 同シリーズでは、影の境界に現れるレーザーの回折縞を解析して端位置を超高精度に計算する測定原理を用いているため、スキャン方式や影方式よりも測定精度が高い。この技術は光ファイバの測定や偏芯測定にも応用されており、同社の原点ともいえる技術だ。

 また、どのような環境・条件下でも使用できるよう堅牢さにこだわっており、可動部が少なく頑強なソリッドステート構造となっている。メンテナンスフリーで使用できる点も特長だ。

 同シリーズの中でスタンダードなのが「LASER 2000シリーズ」で、累計2万台を超える出荷実績を誇る。ラインナップも多彩で7種類を展開し、適用製品径は最も小さいもので0.05mm、大きいもので300mmに対応している。

 このほか、「LASER 6000シリーズ」や、最も新しい「LASER PROシリーズ」、特殊モデルとしてフラットケーブル用モデルや、コブ検出兼用2in1モデルも展開している。偏芯測定器「CENTERVIEW PRO」には「LASER PRO」2台が搭載されている。

高シェアなX線測定器

 レーザーによる外径測定と合わせて同社が得意としているのがX線を活用した測定技術だ。種類が豊富でさまざまな製品がラインナップされている。中でも、累計販売台数が2000台を超えているのが「X―RAY 8000 ADVANCED /NXT」だ。世界シェア95%超の業界標準のX線肉厚測定装置であり、多くのCCV/VCVラインで活用されている。最大3層までの肉厚を測定でき、長寿命型X線チューブを搭載している。

 「X―RAY 6000シリーズ」は最大3層までの肉厚を測定できる測定器だ。適用製品径は最も小さいもので0.65mm、大きいもので270mmに対応する。同製品にも長寿命型X線チューブが搭載されている。電源を入れれば即時に測定が可能だ。

 同社は通常モデルであるPROに加えて、低価格版として「X―RAY 6000 PURE」をリリースしている。一層のみの肉厚測定に対応した製品で、シース肉厚や単層絶縁体の肉厚、複数層の総肉厚などの測定に活用できる。

組み立ては手作業

 同社はすべての製品の生産および研究開発をドイツ・ブレーメンの本社工場で行っている。装置の組み立てなどはすべて手作業で行われており、製造を行う4つのフロア内にはパーツなどが整然と並べられていた。また、2019年には新しい建屋が建てられており、働く人への環境配慮の観点から、ノイズを吸収するパネルを天井に設置し、窓を大きく設計し採光性を高めるといった取り組みが行われている。直近では製造プロセスの改善に取り組んでおり、ライン式にシフトしているという。短納期化を図る狙いだ。

 工場内では、プレゼンテーションで紹介された製品の製造工程を見学した。いつくかの製品については実機を目にすることもできた。

 また、コンパウンドペレットの検査に使用される「PURITY CONCEPT」のデモも行われた。X線技術を用いた「PURITY CONCEPT X」ではペレットをスキャンすると重さごとに色分けされ異物を検出できる様子や、光学センサーを活用した「PURITY CONCEPT V」では異物の位置をレーザーで検知する様子を見学した。

電線新聞 4436号掲載