電工さんの工具箱 第13回「水平器」すべては水平でできている。

高松塚古墳にも用いられた水平器

 その名の通り、水平を測る器具だ。水準器ともいう。

 考えてみれば、この丸くて凸凹した地球の上に、ほとんどの構造物が水平を保って存在しているというのは、すごいことなのではないだろうか。国土が狭い日本では、山の斜面にもびっしりと家が立ち並んでいる。以前、店舗が大きく傾いている有名なラーメン屋さんがあったが、その店も最初は水平だったはず。イタリアのピサの斜塔だって地盤沈下で傾いたのだ。

 水平器のない時代、わが国では樋(とい・とゆ)や木箱、あるいは角材の一面に掘った長い溝などに水を注いで水平を求めたという。この作業を水盛りと呼び、このような道具を水準(みずばかり)と呼んだ。準という字には平らの意味があり、水盛りは縄(水糸)を使って水平線を出すことから、準縄(じゅんじょう)の語が生まれたそうだ。準縄には規則、手本といった意味もある。

 また、2007年の読売新聞によると、奈良県明日香村の高松塚古墳で、水平器用に使われたとみられる9カ所の柱の穴が出土したのだそう。床石の上面を平らにするため、水を入れた容器で水平を調べ、柱に糸を張って水平を確認しながら作業したと推測されている。日本書紀に記された「水ばかり」にあたるとみられ、水と糸を使って水平を測る方法が確立していたことを示す最古の例だという。いつの時代も、職人の知恵と技術はすごいのだ。

電気工事士にお勧めのポケットサイズ

 大工仕事と同じく、電気工事士の仕事も水平・垂直・45度が基本になる。たとえコンセントのプレートひとつでも、ゆがんでいれば直さなければならない。長年の経験による目測も侮れないが、サッと取り出し、パッと測れる水平器はやはり便利である。

 水平器で最もポピュラーなのが、気泡で水平を知るタイプだ。

株式会社マーベル:ML-200M 電工レベル

透明の管の中にアルコールやエーテルなどと気泡が入っており、ポケットサイズが主流。電気工事士は脚立に乗ったり高所作業も多いため、落とした際の衝撃をやわらげる保護材が付いているものやマグネット付きのものをお勧めしたい。

JAPPY : ML-100KB-JP 強力マグネットレベル

 より正確性が求められる場合は、傾きを数字で細かく教えてくれるデジタル式の水平器がある。

(このデジタル水平器は以前メルマガ新規登録キャンペーンの景品としても使用されました)

「私には真っすぐに見える」といった人間的感覚が入り込む余地はもちろんない。さらには、「曲がったことが大嫌い」とでもいうように水平・垂直などの直線を視覚的に示してくれるレーザー式の水平器もある。

ボッシュ株式会社:ミニレーザーレベルGLL1P

 デジタルもレーザーも比較的高価でサイズも大きいため、どちらかといえば建設現場用なのだが、最近は小型のタイプも登場している。職人の技に負けず劣らず、メーカーの技術革新もすごいのだ。

アイキャッチ:JAPPY(因幡電機産業㈱) JAL-200 エアコンピタッとレベル