電工さんの工具箱 第7回「ドライバー」工具の定番、ねじ回し

なぜプラスとマイナスがあるのか


電気工事士の腰にはもちろん、一般家庭にも必ずあるだろう工具の定番といえる、プラスとマイナスのドライバー。JIS規格に基づく名称は「ねじ回し」だ。ここでは読みやすさを考慮して「ネジ回し」と書く。しかし、そもそもネジには、なぜプラスとマイナスという二種類の溝があるのだろう? どちらか一つなら、ドライバーも一本で済むではないか。いや、二種類どころではない、四角形や六角形、星形の溝というか穴のネジも見たことがあるような――。
調べてみると、ネジのプラスは「十字穴」、ネジのマイナスは「すりわり」というのですね。溝だけでなくネジの頭の部分やネジ山の部分にもいろんな種類があり、一口にネジといっても形状、構造、材質、用途など千差万別だ。考えてみれば、椅子や本棚から自動車、飛行機、宇宙ステーションまで、世の中のあらゆる物と場所にネジが使われている。昔はマイナスネジが主流だったそうだが、現在はほとんどがプラスネジで、自動販売機や車のナンバープレートなど、特にいたずらされると困る箇所には特殊なネジが用いられているらしい。また、プラスネジの十字穴はドライバーの先端がしっかりとはまるのが利点だが、欠点は、その穴に汚れが詰まりやすいこと。詰まるとドライバーの先が入らなくなり、二度と抜けないネジになってしまう。だから、汚れやすい場所やさびやすい部分にはマイナスネジが使われるのだ。ゆえに、ドライバーも二本必要なのだ。いきなり横道にそれてしまったが、ドライバーの話である。

電工ドライバーとは

マーベル:絶縁ボールドライバー

ネジが千差万別なのだから、ネジ回しも当然そうなる。電気工事士に必要不可欠なのはプラスとマイナスのドライバーだが、それだけでも多種多様だ。構造的に大別すると、貫通型と非貫通型がある。貫通型とは、ドライバーの軸がグリップの最後まで通っていて、グリップの尻が金属になっているタイプ。柄尻をハンマーで叩いて打撃を加えることができ、なめたネジを外すときなどに重宝する。一方、非貫通型は、ドライバーの軸がグリップの途中までしかなく、グリップの尻に金属が出ていないタイプ。つまり、感電防止タイプだ。通常〝電工ドライバー〟と呼ばれるのはこのタイプで、グリップは木、ゴム、プラスチックなど絶縁素材のものがほとんどだろう。また、握りやすく力を入れやすいよう、丸くて大きなグリップが多い。最近は、軸に絶縁チューブをかぶせたタイプもある。電気工事の場合は、やはり感電防止タイプのドライバーを選びたい。また、人の手も千差万別なので、握った感触というのも大切なポイントだ。
しかし、そもそもネジは、なぜ右回りなのだろう?