【電材流通新聞主催】照明専業メーカー座談会


本紙・電材流通新聞社は3月4日、静岡県熱海市の「ホテル ニューさがみや」で「照明専業メーカー座談会」を開催。LED照明を核とし、照明業界の課題と今後の見通しについて意見交換した。座談会には、全国照明器具協同組合連合会の梅田照幸会長(コイズミ照明代表取締役社長)をはじめ専業メーカー各社首脳8氏が参加した。


出席者

全国照明器具協同組合連合会 会長 梅田 照幸氏

株式会社遠藤照明 代表取締役会長 遠藤 良三氏

大光電機株式会社 代表取締役副社長 山本 善教氏

星和電機株式会社 代表取締役社長 増山 晃章氏

ウシオライティング株式会社 代表取締役社長 椿 隆二郎氏

コイズミ照明株式会社 取締役商品管理本部長 吉村 典之氏

大光電機株式会社 執行役員 首都圏営業部 部長 森 聡氏

ウシオライティング株式会社  執行役員 照明事業部 事業部長 生澤 克元氏

主要議題

(1)照明業界の現状と今後の見通し  2019年1月の新設住宅着工戸数は6万7087戸、前年同月比11. %増と2カ月 連続の増加となりました。景気については2020年の東京オリンピック・パ ラリンピックに向けて、大きな盛り上がりを見せています。こうした中、 照明業界では国内出荷におけるLED照明器具の割合が100%に近づき、 政府目標である「SSL器具占有率2020年フロー100%」の達成を射程に 捉えた状態となってきました。照明業界の現状と今後の見通しについて は、どう予測しておられますか。
① 照明業界全需の動向(2018年度下期と今年の見通し)=梅田全照連会長
② 2018年10月―2019年2月までの結果報告=各社
③ 2019年度上期(2019年4月―同年9月)の見通し=各社
④ 中期的な照明市場の動向について=各社

(2)各社、事業の取組み
①LED照明
・新商品開発(住宅、店舗、施設、複合商品など)
・販売展開(地域戦略、キャンペーンなど)
・リニューアル・リフォーム(水銀灯からの取り替えを含む)
・通信技術(照明制御、IoT、AI)の採用

②各種の事業展開
・カタログ(住宅用・商業施設用・総合など)
・ショールーム(新規開設・リニューアル)
・ホームページ(リニューアル)
・海外への事業展開
③製品発表展示会、セミナーの開催
・発表会など具体的な開催概要

④その他
・働き方改革(女性社員の活用など)

(3)LED照明の今後の展望
・2030年、ストック100%について

(4)第39回「あかりの日」の取組みについて
・全国照明器具協同組合連合会の対応



——はじめに照明業界の現状と今後の見通しについて、梅田会長にお話を伺いたいと思います。
梅田 最初に1月までの住宅と非住宅のデータについて申し上げます。
住宅着工の方が累計で80万4412戸ということで、マイナス0.4%でした。言われていた以上に、戸数の方は順調に推移しました。
このなかでは、マンションが105.5%ということで、増加が非常に目立っています。一般の戸建ての方も104.3%となっています。賃貸の方はマイナス5%ということなので、戸数から考えても順調に推移していると見ています。ただ、数量が上がっても単価が上がっていないという現象があります。
非住宅の方は床面積で見ていますが、こちらもマイナス0.3%ということで、ほぼ前年並みで動いています。そのなかで伸びているのが工場関係です。115.2%と大幅に伸びています。
照明専業メーカーが強いと言われている店舗については、マイナス8.7%となっています。事務所も好調のように見えていましたが、床面積でいうとマイナス4.2%ということで、ここについては業界のなかでの差がかなり激しいというのがいまの実態だと思います。
住宅をエリア別に見ますと、首都圏がマイナス2.1%と全体的に落ちています。逆に、中部圏が105.1%、近畿圏107.3%と伸びていて、それ以外はマイナス伸長となっています。
非住宅でも首都圏の延べ着工数が1番悪く、5.2%となっています。オリンピック前なので増えると言われていましたが、実態は逆で、延べ着工数は大幅に減っています。中部圏は10.5%伸び、近畿圏はマイナス2.2%、その他のエリアもマイナスで、全体的には前年を少し割るような状況です。
商品別に見ると、住宅用の照明器具については、1月までの累計で、数量ベースで98.5%、金額ベースで95.3%となっています。前回も申し上げましたが、数量ベースの伸びよりも金額ベースの伸びが低くなっていることから、主力商品の単価ダウンがいまだに続いていると言えます。これは、シーリングとダウンライトでの単価ダウンが大きく影響していると考えています。
非住宅の方は、LEDに関しては金額ベースで107.7%と伸びています。数量ベースでは103.3%ですので、こちらの方は金額ベースの方が伸びています。
ただ、商品的にはすごく波があります。大きく伸びているのは直管タイプで、108%から110%の伸びを示しています。一番大きな構成比を持っているこの部分が伸びていることで、全体を引っ張っています。ですので、商品が特化してきているという現象が出てきています。
非住宅の屋外については、これも金額ベースでは105.1%、数量ベースでは93.2%ということで、施設以上に単価の伸びが大きくなっていることから、付加価値が上がってきているのだと思っています。
いまどんどん落ちてきている一般器具も含めた最終的な業界の状況は、1月までで金額ベースで103.6%、数量ベースで99.3%となっています。ですから、状況としては前年を超えているということですので、まずまずの業界だと言えると思います。
ただ、各メーカーの主要なマーケットのウェートによって、伸び率が10%前後の違いはあると思います。最近目立っているのは、非住宅分野での非常灯や誘導灯ですとか、直管の40Wタイプです。こういった商品の数量の大幅なアップに引っ張られています。それから高ワットタイプの倉庫用の器具が伸びています。倉庫は減っているのですが、水銀灯の廃止などの影響で急激に伸びてきています。そういったことで単価が上がっているというのが、日本照明工業会のデータから読み取れると思います。

——次に、昨年10月から今年2月までの各社の結果報告ということで、遠藤会長からお願いします。
遠藤 あまり良くありませんでした。特に、商業施設などは需要が一巡して、物販系や食品スーパー系もネット販売に対する警戒のようなものがあります。ですから、投資が抑えられているような感じがします。アパレル系などは壊滅的です。百貨店も取り換え需要はありますが、新規は以前の勢いがほとんどありません。ですから、新しい分野も含めて、しっかりと取り組んでいかなければなりません。

——山本副社長はいかがですか。
山本 まだら模様ではありますが、北海道や首都圏、九州、中四国は好調です。特に、東京の商環境がタッチアップしてきたということと、京都がバブルのような状況になっています。そんな関係でまずまずの結果が出ていまして、昨対はオーバーしています。ただ、大幅ではないので、微増といったところです。
あまり良くないのは、電材ルート系の日流れの部分です。ここが少し足を引っ張っています。件名の方は見えているのですが、それ以外で流れている部分が減っているのではないかと思います。ですから、どこで減っているかというのは、ちょっと見えにくいですね。先ほど梅田会長がおっしゃった統計のトレンドがリンクしているのかもしれません。

——商品の分野としては、どのような感じですか。
山本 昨年までは落ち込んでいた店舗系が復活してきました。そこが取り戻してきていて、昨対でいえば、2ケタ以上伸ばしています。他では、住宅は全国的に善戦していますが、ルート系は東阪とも厳しいですね。

——増山社長、お願いします。
増山 いつも申し上げていますが、わが社の場合は製品群が皆さんと少し違いますので、産業用と道路・トンネルに分けてお話したいと思います。
産業用は、昨年の同時期と比べて微増です。工場などの設備投資が相変わらず続いているという状況です。
道路・トンネルに関しては、昨年に新名神などの大きな案件がありましたので、それと比べると、今年は少し苦戦しています。
わが社の場合、市場自体が年によって変動しています。5年ぐらいのサイクルで電気設備や道路の設備の需要が出てきます。ただ、来期に関しては、受注残もかなり抱えているような状況です。それも4月またぎになってしまったという案件がかなりあるので、来期については少し期待しています。

——椿社長はいかがですか。
椿 私はいままで、この座談会にはマックスレイの代表として出席していました。今日現在は、一緒に出席しています生澤執行役員がトータルの照明事業を担当しています。トータルの照明事業というのは、マックスレイの器具、ウシオライティングのハロゲンランプをはじめとする一般照明用の光源。もちろんLEDも入っています。それに加えて、屋外を含めたファサード、ライトアップといった演出系のソリューション事業に取り組み始めていまして、屋外を含めたファサードですとか、ライトアップ。この3つで照明事業を展開しています。
この括りで見ますと、LEDランプがピークを完全に過ぎたということもあり、残念ながら20%の減少傾向となっています。ただ、お陰様でマックスレイの商業施設用の照明が約9%伸びています。ならすと全体的には微減なのですが、商業施設の器具については、特に下期は好調・堅調に推移しています。
ホテルや高級飲食店が好調で、アパレルについても根強い需要があります。ただ、海外の高級ブランドが多いという感じはします。
それから、ソリューションの分野では、ファサードですとか、演出を絡ませた部分は、年度を通して着実に5%ぐらい増え続けています。そういう意味では、器具系については明るい兆しが出てきていると感じています。マックスレイもようやく底を打って、上昇回復基調に入ったと思います。
ただし、むずかしい案件が増えています。ご存知のように高級ホテルですとか。この部分で生澤執行役員に本領を発揮してもらって、業績を伸ばしていきたいと考えています。

——ハロゲンはLEDに移行しているのですか。
椿 ハロゲンは着実に年々減ってはいますが、ハロゲンじゃないとだめだというお客さまもいらっしゃいまして、いまだに根強い需要があります。

——森部長、お願いします。
 大光電機全体としては、山本副社長が先ほど申し上げました通り、まだら模様となっています。
そのなかで、東京の店舗とハウジングですね。住宅関係がちょっと下がっていると思いますが、プランの数や提案の内容などをいろいろと工夫することで、なんとか善戦しています。
その一方で、ルート系が何故厳しいのか。件名の指名先が把握できている割合が、商業施設やハウジングと比べるとやはり少ないんです。ですから、減ってきた時に、効果的な対策がきっちりと打ちづらいということが影響しているのではないかと思います。
商流の垣根も変わってきていますので、私も含めて、先入観を持たずに取り組んでいかなければならないと考えています。

——梅田さん、お願いします。
梅田 当社も苦戦している部類に入ると思います。特に、マーケットの大きな構成変革をしているところで、量販のウェートを極端に落としてきたこと。また、住宅についても凸凹があります。代理店さんと一緒になって手を打てた所は伸びていますが、我々と一体感が醸成できていなかった所は、ターゲットがわからなくなっています。
店舗系は前半が良くて、後半が悪くなっています。これは、実は前年に大型の物件があったのですが、今年はそれがないということもあり、前年を割ってきたということなんです。
注力している施設系は、まだパイは小さいのですが、確実に伸びています。制御の方も2ケタ以上の伸びをしているので、時間はかかりますが、この辺りの分野でいろんな商品開発に注力していきます。

——施設系とは。
梅田 当社の場合は、オフィスとホテル、それから病院系が増えてきています。この辺は、いままではあまりなかった分野ですが、成果につながってきています。地方の大型病院の建て替えがすごく増えているので、そこに新しい制御を絡めた提案を、ゼネコンさんと一緒になって取り組んでいます。ただ、納入は1年後や2年後というものが多いので、いま刈り取りということでいくと、ホテル案件が1番多いと思います。

——村本部長はいかがですか。
 いま話があったように、昨年に大きな案件があったということで、店舗の部分がそういった状況になっています。
営業の軸で言いますと、首都圏と大阪の店舗については良い状況です。そのほか、エリアとしては九州が好調です。
開発のところでいろんな物件をやっていますので、この先も含めて、従来取り組んでこなかった施設系が、博物館も含めてかなり幅広く入ってきているというのがいまの状況です。

——生澤執行役員、お願いします。
生澤 ウシオライティングとしては、先ほど椿社長が話したような形で展開しています。
ウシオライティング弊社には、ソリューション営業部という部隊が元々ありまして、どちらかと言えば派手な複雑なカラー演出ということで、注目されるような案件が多く、若干右肩下がりやや減少気味になってきていました。ただ、来期にかけてはまた復活する案件がでてくると見ています。つまり、こういった仕事は、どうしても波があるということです。でてきます。
それに加えて、マックスレイが吸収合併されて、上半期と一緒になってしばらくは厳しい状況でした。マックスレイというのは、従来から商業マーケットに特化した仕事をしてきました。そのなかで今後を考えると、そういった形だけでやっていくのは難しく、マーケットの幅を広げないと何も進まないということで取り組んできたのが下半期なんでした。
今後も少しずつ、新たな部分を入れ込んでいきますので、実際には来期以降が勝負の時期になると考えています。

——商業系以外の分野とは、どういったところですか。
生澤 下期で少し出始めたとの声が聞こえるのがホテル系です。あとは、一部オフィス系があります。ただ、商品ありきということがありますので、そういったことも含めてチャレンジしていきたいと考えています。

——ということは、いままでマックスレイでやってきた商品とは別の切り口の新しい商品も必要になってくるということですか。
生澤 当然、そういったことも考えていかなければなりません。ただ、従来の商品もかなりの量がありますので、同時進行で取り組みながら、比重を少しずつ変えていこうと考えています。

電材流通新聞2019年3月28日号掲載