【日本能率協会総合研究所】 日本国内の家庭用蓄電池市場を調査

2020年度には1000億円市場に

日本能率協会総合研究所はこのほど、日本国内の家庭用蓄電池市場を調査し、規模を推計した。
家庭用蓄電池は二次電池を中心に構成される家庭用の蓄電システム。戸建住宅や集合住宅の専有部分に設置することを想定して製品化されたもので、容量4〜8kWh程度の製品が中心となっている。自然災害などの際に非常用電源として使用することができたり料金の安い深夜電力を貯めて昼間に使用したりすることができ、太陽光発電システムとあわせて設置すれば発電した電気を貯めおくことで必要な時に自家消費するといった運用が可能となる。
これまで、家庭用蓄電池は、設置に数百万円の費用を要することから普及が進まなかったが、東日本大震災後の2012年に非常用電源の確保や電力不足の解消を目的に家庭用蓄電池の導入を支援する補助金制度が開始され、1住宅あたり上限100万円の補助金が出ることになったことを契機に販売台数が大きく伸びた。
だが、補助金制度が2015年度をもって廃止されて蓄電池のみを対象とする補助制度がなくなったことから、2016年度には需要が急減した。
その後、住宅用の太陽光発電の「2019年問題」を背景に、2017年度になって販売台数が再び大きく伸びている。
「2019年問題」とは、2009年に開始した太陽光発電の余剰電力買取制度の買取期間10年間の満了が始まることを指すが、買取価格が大幅に下がれば売電より自家消費のメリットが大きくなり、太陽光で発電した電気の自家消費を夜間にも行うためには蓄電が必要となる。このため、太陽光発電システムのパワーコンディショナーの買い換えや新規の設置においてハイブリッド蓄電システムが提案され、市場の活性化につながっている。
2019年度以降は、太陽光発電システムと組み合わせて蓄電池を導入するケースが増加すると期待されている。
こうした状況を踏まえ、国内の家庭用蓄電池市場は2020年度には1千億円に達し、2023年度には約1200億円に拡大すると予測している。

電材流通新聞2019年4月11日号掲載