公共工事施工体制 概ね良好状態

国土交通省はこのほど、2018年度の公共工事施工体制の全国一斉点検の結果を発表した。それによると、改善すべき事項のあった工事は全体の10.8%(83件)で、前年度(9.6%、78件)から若干増加した。

ただ、調査開始(02年度)から前年度まで徐々に減少し、大きく後退していないことから施工体制は概ね良好となっている。とくに、建設業法に規定されている建設業許可票の掲示について改善すべき事項のあった工事は全体の約0.3%であり、02年度(約76%)からみると大幅に改善している。

一斉点検は昨年10~12 月に稼働している768件の直轄工事を対象に実施。その結果、監理技術者資格者証の提示、JVの場合の主任技術者の資格要件について明らかな建設業法違反で許可部局への通知が必要な工事はなかった。改善すべき事項が見つかった約7.0%・54 件(前年度約6.0%、49 件)の工事について受注者に改善を求めた。

建設業法で義務付けられた「施工体制台帳の備え付け」や「建設業許可票の掲示」の履行については概ねすべての工事(施工体制台帳の備え付け=99.6%、建設業許可票の掲示=99.7%)で適正が確認された。元請業者と下請業者の契約が「明確な工事内容」となっていることについては、改善すべき事項が約5.2%・40 件(前年度約4.8%、39 件)の工事で確認された。

下請業者513社に対する調査の結果、下請業者の主任技術者の配置状況に関して建設業法違反(通知)及び指導事項に該当する工事は該当がなかった。一方、464社の主任技術者へのヒアリングの結果、別途対応を行った件数は、不当な低い請負代金の禁止において「注文者が自己の取引上の地位を不当に利用した」が2件、「請負代金の額が通常必要と認められる原価に満たない」が2件、不当な使用資材などの購入強制の禁止において「工事に使用する資材または機械器具を指定され利益を害された」が2件、「工事に使用する資機材の購入先を指定され利益を害された」が1件あった。

足場点検では「作業前点検及び異常時の補修のいずれかが確認できない」はなかったものの、「悪天候などや足場などの組立・一部解体もしくは変更の後の点検結果の保存と異常を認めたときの補修についての記録がない」が3件あった。

同省では今後も一斉点検を実施し、適正な施工体制のより一層の確保を図っていくとしている。

商経管材新聞2019年6月5日号掲載