【電材流通新聞主催】 第25回東京地区電設業界工・製・販座談会

――では次に、東電材の現状について伺いたいと思います。小島理事長お願いします。
小島 組合員によって良し悪しがあると思いますが、メーカーさんのお話を聞いてもそんなに悪くはないといった状況だと思います。まさに天野理事長さんがおっしゃっていたように、23区内は非常に活況で、多摩地区の方が若干弱めかなという感じはしますが、トータルで見ますと、そんなに悪くはないと思います。
我々の組合のなかでも状況はさまざまだとは思いますが、上場している我々の同業者の第1四半期の決算を見てみますと、良い決算をされているところが多いです。制御系が中心の会社については、昨年が良すぎたものですから、今年は少し厳しいようですが、まずまずの推移はしていると思います。

――加賀谷さんはいかがですか。
加賀谷 理事長が申し上げましたように、東京はすそ野がいちばん広い組合ですから、組合員もさまざまだと思います。とはいっても、我々のような中小・零細の会社であっても、ある程度良かったのではないかと思っています。
やはり、大きい仕事というのは競合が激しいので、価格も相当厳しくなっています。それは大手の皆さんが取るわけですが、その余りをいただいても、昨年から今年にかけて好調だったという感じはしています。
ただ、お客様の話を聞いていますと、そういった仕事というのは今年で 終わりそうな感じですので、来年以降はどうなるのか。その辺の対応を考えていかなければならないと思っています。

――神山さん、お願いします。
神山 私どもの会社が扱っているのは、どちらかと言えば、電線やBC材などで、中堅から大手の工事をやっております。そういう意味で、昨年や一昨年と比べて、今年は活況でございまして、売上げとしては15%ぐらい伸びています。ただし、価格の方は大変厳しくなっております。ですので、思ったほどの利益は出ていません。
いろいろと課題はあるのですが、納期面においては、電線の品種によっては、活況を迎えていることもあり、納期がかかってしまいます。
もうひとつ、いまは物流費の問題がいろいろと言われておりますが、我々もメーカーさんから物流費の価格転嫁をされております。ですので、工事業者さんにもご協力いただかなければならない状況になっておりまして、この辺りが採算に影響しているというのが現状です。
先ほど、加賀谷相談役のお話にもありましたが、忙しいのも今年いっぱいということで、来年以降は状況が厳しくなると思いますので、リニューアル物件に積極的に取り組んでいかなければならないと考えています。
それから、首都圏は、大型や中堅の仕事はあるのですが、小規模の電気工事は少ないのです。そういう工事が多くないと回転していきません。大型物件ですと、工期が3年ぐらいになります。とくに電線の場合は、銅の価格がベースになりますので、そういった面で苦労しております。

――小島理事長、物流費についての全日電材連の動きを教えていただけますか。
小島 東電材としてはまだ対策などは立てていないのですが、全日電材連の方では、メーカーさんからかかっている費用ぐらいは工事業者様の方に負担していただきたいという話を、忍田会長がしております。
そのほか、時間外や休業日などのイレギュラーな部分についてもお願いできないかということで、全日電工連さんのかたとお話をさせていただいております。
これは致し方ないのではないかというのが、電工連さんと電材連との大枠での意見としてあります。では、具体的にどうしていくのかということについては、個々のところで話をしていこうという段階です。それがある程度固まってから、各単組に話が下りていくという状況です。

――川上さん、お願いします。
川上 私どもの地域は、天野理事長が先ほどおっしゃったように、多摩地区と西東京の方面を管轄している関係もあるのですが、仕事としては昨年より若干落ちるのではないかと思います。
大きい仕事がある時は、地元でやっている電材店よりも、他県からの大型店や異業種に持っていかれる率は多くなっていると思います。
それから、私は唐沢副理事長と同じ地域で商売をしております。そこで、確かにLEDの街灯に関してはいまのところは活発な形で出ていますが、その先は非常に厳しいという状況にあるのではないかと思います。
また、いまの物流の状況として、私どもへの納入時間が相当ずれてきています。いままでは、今日中に配達できていたものが、翌日になってしまうことがあります。そうは言っても、お客様との約束もありますから、働き方改革に逆行してしまいますが、当日に配達をしておりますので、現状は非常に厳しいです。

――横森さんはいかがですか。
横森 私は少し異質な仕事をしております。いまはインターネットを通して販売しているというのが実情です。
いままでの流れのなかで、そういったものを選択せざるを得ないということがありました。先ほど、大型店が参入しているというお話がありました。私どもは渋谷ですが、そういった会社がたくさん入ってきているのが実情です。
それから、電気工事会社様やメーカー様のお話を聞いておりますと、やはり市場というものがあって、そのなかで、メーカー様であれば製品を作ることによって新たな市場を作っていく。そういうことを感じました。当然、それを施工される電気工事の部分では市場が沢山あると思っています。ただ、残念ながら、販売に関しては、極端な言い方をすれば、誰でも販売はできます。そのなかで、自分たちの業種をどのようにしていくか。これを考えることが必要だと思います。
電気の業界について言えば、拡大基調にあると思っていますし、異業種から見れば、魅力的な業界であるので参入してくるのだと思います。ですから、私どもとしても、しっかりと刈り取っていくことが重要だと思っています。

――菅野さん、お願いします。
菅野 加賀谷相談役のお話にもありましたが、中小・零細企業の商売ということで、大手さんとの競争のなかで、いかにやっていくか。日々苦労しています。
商品の細分化といいますか、ニッチな業界に特定の商品を提供するとか、流通もそれなりの所に持っていくというような考え方で、大手さんの平面的な商売とぶつからないようにすることが我々の生き方だと思っています。

――石川さんはいかがですか。
石川 先ほどの小島理事長の話にもありましたが大手同業の上場会社の第1四半期の決算が出揃いました。それを見ると、売上げ、利益ともにかなりアップしています。
私どもとしては、ここ数年、前年の売り上げを維持できれば良いという状況でしたが、ここへ来て、確かに前年からアップすることが普通になってきました。私どもも6月までは良かったのですが、懸念しているのはこの7月と8月。今年度に入って初めて、前年を少し下回りました。いままでは空調などですごく忙しかったのですが、そういうものがなくなった時にどうなっていくのかという懸念があります。
先日も受注残について分析しました。私の会社のような規模ですと、3百万円前後の材料の物件の件数が多いと先が読めます。金額そのものは減っていません。ただ、昨今の受注残を見ると、金額の大きいものが幾つか入っているので、それが金額をかさ上げしている状況になっているので、先が読みにくいということで、危惧しています。
それから、働き方改革についてですが、我々は本来、営業をいちばん重要視しなければならないのです。それでなくても人が足らないのに、いままで遅い時間まで働くのが当たり前だった業界が6時や7時に終えるとなると、そこに歪みが出てきます。当面は、各営業が早く帰宅し、朝の早い時間から出社して処理している状況ですが、こういうやり方が本来良いのかどうか。確かにいままでは効率が悪くて時間が遅くなっている面もありましたが。この辺は都工組さんとも手を携えてやっていかなければ、働き方改革を実現するのはむずかしいと思います。

――皆川さん、お願いします。
皆川 私の会社は零細の電材店ですので、大きな市場の話は先輩方にお任せします。私の会社で見る限りでは、電気工事店様は忙しそうだというのが現状です。
ただ、そのなかで、二分化されているという感じがしています。数十人規模の電気工事店様と1人2人でやっている工事店様。大手の方は非常に忙しくやっていらっしゃいます。そういうところを見ると、当然のことながら価格競争が起きて、弊社としてもなかなか思うような利益が出せません。
逆に、1人2人でやっていらっしゃるところは、やはり忙しいのですが、20年ぐらい前までは町なかの工務店さんの下でやっていたものですから、電線から照明、エアコンまで、すべてのものをその電気工事店さんが買ってくれていました。いまは町なかの工務店さんが少なくなってしまいましたので、大手住宅産業に手伝いに行くような状況です。そうすると、残念ながら、私の会社からは材料が出ないという現象が起きています。
そういうなかで、いまはリフォーム関係とセキュリティ関係をやってい るお客様は、仕事が非常に安定しているという印象を受けています。

――山平さん、事務局としてのお話はありますか。
山平 東電材には5支部がありまして、その支部会に出席していますと、各支部長さんがおっしゃられるのは、業績はまずまずだということです。とくに、特機をやっておられる代理店さんは非常に好調で、この9月ぐらいまでは順調にいくだろうというのが現状だと認識しています。
そんななかで、この春先ぐらいから、学校空調の仕事がかなり増えてきていました。とくにB材関係が品切れをして、電気工事業の皆様にはご迷惑をおかけしました。昨年の猛暑で、ある程度の需要が見込めるというなかで、工・販・製がもっと一体となっていれば、需要をもう少し正確に予測出来ていたのではないかと反省しています。
もうひとつ、来年のいまごろは、オリンピック・パラリンピックが開催されます。それに合わせて、東京都がスムーズビズということを提唱しています。これはテレワークであったり時差出勤であったり、我々がいちばん関係するのは交通を規制することです。その時の物流がどうなるのかが非常に心配です。とくにメーカーさんから入ってくる商品がきっちり届くのか。また、それをしっかりと電気工事店さんに届けられるのかということも含めて、既に対策をお持ちのメーカーさんがあれば、教えていただきたいと考えています。